研究課題/領域番号 |
10J04220
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
吉岡 祐亮 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | microRNA / エクソソーム / がん細胞 / 定量法確立 |
研究概要 |
平成24年度は前年度から取り組んでいるmicroRNA-210(miR-210)に関する研究をまとめ、論文投稿を行い、Journal of Biological Chemistryに受理、掲載された。研究対象としたmiR-210は低酸素環境下で発現が誘導され、2つの鉄代謝関連遺伝子の発現を抑制することを明らかにし、miRNAが細胞の鉄代謝を制御することを示した。さらに、細胞から分泌されるmiRNAはエクソソームという脂質二重膜の中に内包されていることが知られているが、miRNAの他にも多くの蛋白質が含まれることも知られており、様々な細胞株から分泌されるエクソソームに共通して含まれる蛋白質の探索を行った。その結果、がん細胞を含む前立腺細胞株4種類とがん細胞株を含む乳腺細胞株5種類から分泌されるエクソソームにはCD9とCD81が多く含まれることが明らかになった。従来エクソソームマーカーとして用いられて来たCD63は細胞株間で発現量に違いが見られた。全11種類のマーカーの発現を確認し、現在、Journal of Extracellular Vesiclesに投稿、改訂中である。またエクソソームの定量方法の確立も目指した。エクソソームは脂質二重膜上に特定のタンパク質を発現しており、これを抗原とし、二つの抗体を用いて挟み込み、ELISAに似た方法でエクソソームの定量法の開発を行った。細胞株の培養上清から回収したエクソソーム中に含まれる特定の蛋白質は定量可能となった。今後はこの定量方法を応用して血中のがん細胞由来エクソソームの検出、すなわち新規診断法の確立、さらには、薬剤感受性や薬剤耐性能の獲得の有無などを、本方法を用いてモニタリング可能であるか検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度より行っていたmicroRNAに関する研究をまとめ、論文発表を行うことができた。また、同時に、microRNAを内包しているエクソソームという細胞外小胞に関する、研究を進め、それらの定量方法および蛋白質について解析することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は細胞外小胞エクソソームについて詳しく解析する。エクソソームの定量法を確立することで、新規診断法の確立、さらには、薬剤感受性や薬剤耐性能の獲得の有無などを、本方法を用いてモニタリング可能であるか検討する。しかし、血中におけるエクソソームの蛋白質プロファイルなどは未知な部分が多く、診断に用いる標的蛋白質などを決定することが必要である。
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