研究概要 |
本研究課題の目標である3次元一般剛性の組合せ的性質の解明にむけて,本年度は制限された特殊構造モデルの性質解明を行った.通常,一般剛性の研究においては,棒と接点で構成される「フレームワーク」と呼ばれる構造物の剛性を研究対象としているが,特殊構造モデルの研究においては3次元剛体や2次元パネル等の物理・工学分野で自然に現れるより広いクラスの構造物剛性を研究対象としている,詳細は省略するが,これら特殊構造モデルの一般剛性は,3次元フレームワークの場合の特殊ケースであるため,特殊構造モデルを研究することは理論的にも自然である.特に今年度の成果では,Lovasz&Yeminiによる2次元一般剛性定理(Lamanの定理)の証明のアイデアを高次元へ拡張することによって,Maxwell/Laman型の条件(Maxwell/Lamanの主張をモデルに合わせて自然に修正したもの)が必要十分条件となりうる特殊構造モデルの限界を示すことに成功した。この知見をもとに来年度は,Maxwell/Lamanの条件が成立しない構造モデルに対する研究を行い,3次元一般剛性マトロイドの組合せ構造の解明を目指す. また同時にグラフの木分割定理の一般化に関する研究を行い,頂点への接続数が一様な根付き森分割が可能であるための必要十分条件を導出する事に成功した.この定理は今後行われる剛性の組合せ的性質解明の基礎となるため重要である.
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