今年度は、昨年度に立てたモデルの汎用化を行った。最初のモデルは上記の工場の生産プロセスと制約条件のみを考慮しているため、その工場以外の生産プロセスには対応できない。一般的な生産プロセスを考えたうえ、最初のモデルに幾つかのスケジューリングとコントロール機能を追加した。それによって、ジョブのスケジューリングだけではなく、各生産ショップの従業員人数を決めることもできた。マーケットの需要量により生産スピードを決め、生産スピードにより従業員人数とジョブの処理スケジュールを決めるため、全体的な最適化を求めることができる、汎用モデルを構築できた。 そのモデルは2009年にほかの研究者が発表したリードタイム予測手法と結合すると、フレキシブルな注文・生産システムを実現することができる。数多くのランダムに生成した生産環境と生産プロセスに対するシミュレーションによると、既存の動的な生産コントロール手法より50%以上の性能アップを達成したことが分った。 この成果は生産マネジメント・オペレーションズ・リサーチ分野で有名なジャーナルEuropean Journal of Operational Researchで発表された。また、今年度では、今までの3年間やってきたジャストインタイム-スケジューリング手法をまとめ、「A Multi-Agent Scheduling System for Just-In-Time Production」と言う題目の博士論文を書いた。2011年9月に博士学位を取得した。
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