研究概要 |
グラフのタフネス,平面性と次数を制限した全域木の関係,について主に研究を行っている.本年度は,グラフの平面性と次数を制限した全域木の存在との関係について主に研究を行い,以下の結果を得ている. 平面より種数の高い閉曲面上に埋め込まれたグラフと,次数に関しての制約のある全域部分グラフとの関連を研究した.全域木は,"連結な"全域部分グラフであるが,この連結という条件をはずし,代わりに次数制約を強くした構造についての研究を行ったのである.実際に,種数の大きな閉曲面上に埋め込まれたグラフはある種の平面性が高ければ,4-連結または,5-連結を仮定すると,すべての頂点の次数が2である全域部分グラフと,3である全域部分グラフをそれぞれ持つことを証明している.特に,ハミルトン閉路は"連結"ですべての頂点の次数が2である全域部分グラフとみなすことができるので,これはハミルトン閉路の次数に関しての条件にのみ注目した結果である.(11.研究発表5本目の論文) また,閉曲面をトーラスに限定した「任意の4-連結なトーラス上のグラフがハミルトン閉路を持つ」という命題は,Nash-WilliamsとGrunbaumの予想である.これは40年近く未解決であり,グラフ理論では非常に重要な予想である.本年度はこの予想の解決を目指し,予想はグラフをトーラスの三角形分割に限定すると正しいことを証明した.この結果は予想の完全解決に向けて大きな一歩となることが期待されている. 本年度は,上記したほかに,種数の高い閉曲面に埋め込まれたグラフの持つ,次数の制限された全域木の存在など様々な結果を残している.
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