研究概要 |
グラフのタフネス,平面性と次数を制限した全域木の関係,について主に研究を行っている.本年度は,次数を制限した全域木に関連し,長さの短い全域閉歩道に関して研究を行い,以下の結果を得た. 「任意の3-連結平面グラフは3-木を持つ」ということは,Barnetteにより示された当分野における重要な結果である.これをGaoとRichterは「任意の3-連結平面グラフは2-歩道を持つ」という形へと拡張している.その一方で,Nakamoto,Oda,Otaは「任意の3-連結平面グラフGは次数3の頂点が高々(|G|-7)/3個以下の3-木を持つ」という別の形へと拡張した.3-木における次数3の頂点は,2-歩道ではちょうど2回通られる頂点に対応するため,「任意の3連結平面グラフGは2回通る頂点が高々(|G|-const)/3個以下の2-歩道を持つか?」という疑問は自然に起こるものである.実際何本かの論文ではこの問題に言及されており,本研究の一つの研究動機もこの問題である.ここで,2-歩道で,2回通る頂点の回数を制限する,という問題は,その全域閉歩道の長さを制限する,ということと同値である.したがって,「任意の3-連結平面グラフは長さが短い全域閉歩道を持つか」という問題は,上の問題を考える前段階として重要なものとなっている.また,この問題はGoemans氏が組合せ最適化の分野からのモチベーションで提起しており,その点でも重要なものとなっている.この2点を研究動機とし,私は本年度「任意の3-連結平面グラフGは長さが4|G|/3以下の全域閉歩道を持つ」ということを証明した. 本年度はこの他にもいくつかの結果を得ている.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、グラフのタフネスや平面性とk-木・k-歩道の関係について研究を行う.特に,現在まで平面性との関連についてmで述べた結果などいくつかの進展得ているため,今後はそれらの結果を参考に,タフネスとの関連を考察する予定である. 具体的には,「ある定数tが存在し,タフネスがt以上のグラフはハミルトン閉路を持つ」というChvatalの予想は,対象をプリズムーハミルトニアンにしても未解決である.Chvatalの予想の部分的解決として,まずこの予想の肯定的解決を目指す.
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