研究概要 |
平成22年度は以下の研究課題に取り組んだ. (1)地域コンテキストを考慮した動的な特徴空間に基づく地理情報例示検索 (2)異ドメイン間の潜在的対応発見 研究課題(1)ではユーザがあまり知らない地域での例示による地理情報検索を提案した.飲食店などの地理オブジェクトはキーワードや属性を指定することで検索されることが多い.しかしながら,これらの手法は検索対象地域に対してあまり知識を持っていないユーザにとっては利用しづらいことがある.例示地理情報検索では,良く知っている地域の例を与えることであまり知らない地域の地理オブジェクトを検索することができ,検索対象地域に関して事前知識を必要としないことが大きな利点となる.選択した例によって動的に決定される特徴空間において,与えられた例に最も近い地理オブジェクトが検索システムの結果として出力される.我々は選択されたオブジェクトと選択されなかったオブジェクトの差異を増幅することによって,頑健に動的な特徴空間を求める方法を提案した. 研究課題(2)では異ドメイン間の潜在的対応発見を行った.異なるドメインにおいては,データが持っている属性が異なる意味を持つ場合がある.飲食店の例を挙げるならば,日本で「寿司」を提供する店と中国で「寿司」を提供する店では,前者は「その国の代表料理」を意味するが,後者は同じことを意味しない.このことは,表層的な属性の一致による類似度計算や目的とするデータと異なるデータを用いた機械学習において,大きな性能低下を引き起こす可能性があることを意味しており,特に機械学習の分野では近年盛んに研究が行われている.我々は既存の研究で暗黙的もしくは明示的に仮定されていることが適切でない場合を示し,やや制限を強くした新しい仮定の下で異ドメイン間の潜在的対応発見を行う方法を提案した.
|