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2011 年度 実績報告書

レプリソーム形成と安定化機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 10J04745
研究機関大阪大学

研究代表者

菅家 舞  大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワードDNA複製 / AID法 / Mcm10 / zinc finger / Mcm2-7 / RPA
研究概要

細胞が増殖するためには遺伝情報を担うDNAを正確に複製する必要がある。DNA複製は、DNAヘリカーゼであるMCM複合体の複製開始点結合と活性化を経て開始する。MCMは、開始点にロードされるときは二重鎖DNAにdouble hexamerとして結合するが、活性化後はsingle hexamerが一本鎖DNAに結合していると考えられている。しかし、どのようにしてその変化が起こるのかはよく分かっていない。MCMの活性化段階では、GINS、Cdc45などの因子がMCMに集合することが必要である。複製フォークにおいてMCMはGINS、Cdc45と強固な複合体(CMG複合体)を形成しており、これがヘリカーゼの核であると考えられている。複製フォークにおいてGINS,Cdc45はMcm2-7とCMG複合体(Cdc45-Mcm2-7-GINS)を形成しており,これがヘリカーゼの核であると考えられている。Mcm10は真核生物で保存された因子であり、複製開始に必要であること、また複製フォークにも局在することから、Mcm10の機能を理解することでMCMヘリカーゼの活性化メカニズムを知ることが出来るのではないかと考えた。私は条件誘導的蛋白質分解法(AID法)を分裂酵母で開発・構築し(Kanke et al.,2011)、この方法を用いてMcm1Oを細胞から除去して解析を行った。その結果、McmlOがなくても複製開始点上にCMG構成因子が集合することを見出した。このとき、一本鎖DNAに結合するRPAやDNA Polα,δの複製開始点結合は大幅に減少していたことから,開始点DNAの二重鎖開裂は起こっていないと考えられる。興味深いことに、Mcm10除去条件で,保存されたzinc fingerモチーフにアミノ酸置換を導入した変異Mcm10蛋白を発現させると、この蛋白は複製開始点に結合するがRPAの結合は誘起されなかった。さらにこの変異によりMcm10同士のself-interactionと一本鎖DNA結合活性が低下していた。私は,Mcm10がmultimerとしてCMG複合体に結合してその構造をdouble hexamerからsingle hexamerへと変化させ,さらに一本鎖結合活性によって開始点の開裂を安定化することにより,DNA複製開始に必須の役割を果たしているのではないかと考えている(Kanke et al.,2012)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Mcm10が複製開始においてMCMヘリカーゼの活性化(複製開始点の開裂)に必須な機能を果たしていることを明らかにし、結果をThe EMBO Journalに投稿・受理された。

今後の研究の推進方策

Mcm10の保存されたzinc fingerモチーフに変異を持つタンパク質は複製開始点に結合できるがRPAの結合を誘起できなかった。そのため、このモチーフが複製開始に必須の役割を持っていることが示唆された。今後は変異タンパク質がどのような生化学的性質をもつのかを精製タンパク質を用いて詳細に解析することにより、Mcm10がDNA複製開始を促進しているメカニズムに迫りたい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Mcm10 plays an essential role in origin DNA unwinding after assembly of the CMG components2012

    • 著者名/発表者名
      Mai Kanke
    • 雑誌名

      The EMBO Journal

    • DOI

      10.1038/emboj.2012.68

    • 査読あり
  • [学会発表] Mcm10 is required for origin DNA unwinding by CMG complex in fission yeast2011

    • 著者名/発表者名
      Mai Kanke
    • 学会等名
      CSHL meeting on DNA replication and genome maintenance
    • 発表場所
      Cold Spring Harbor, NY, USA
    • 年月日
      2011-09-07
  • [学会発表] Mcm10 is required for origin DNA unwinding by CMG complex in fission yeast2011

    • 著者名/発表者名
      Mai Kanke
    • 学会等名
      The 6^<th> international fission yeast meeting
    • 発表場所
      Boston, MA, USA
    • 年月日
      2011-06-25

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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