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2012 年度 実績報告書

T細胞受容体トランスジェニックマウスを用いた尋常性天疱瘡自己抗体産生機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 10J04747
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

西本 周平  慶應義塾大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード天疱瘡 / 自己免疫疾患 / T細胞 / Th17 / 乾癬
研究概要

天疱瘡の自己抗原であるDsg3に対する特異的なTCRを有するT細胞トランスジェニックマウスH1(以下H1)はinterface dermatitisを生じる。interface dermatitisはTh1サイトカインであるIFN-γ依存性であった。特異的TCRの由来となったT細胞クローンはTh2サイトカインであるIL-4依存性にB細胞に対して抗Dsg3抗体産生誘導能を有していたことから、同じTCRを有する自己反応性T細胞であってもそのcytokine profileの違いにより異なる皮膚炎が生じる事が示唆された。
自己反応性T細胞のcytokine profileと自己免疫による皮膚炎の関係性を解析するため、H1由来のT細胞を自己免疫疾患における代表的なサブセットの1つであるTh17へとin vitroで分化させて免疫不全マウスであるRag2KOマウスへと養子移入した。
レシピエントマウスは鱗屑を伴う皮膚炎を認め、病理組織学的には表皮の肥厚、不全角化、顆粒層の現症、表皮への好中球の浸潤を認めた。これらの所見は慢性炎症性皮膚疾患の乾癬に類似した所見であった。この皮膚炎は抗IL-17A抗体、抗IL-23p40抗体により抑制された。さらに乾癬様皮膚炎マウスの解析を進めたところ乾癬で代表的に発現しているサイトカイン、ケモカイン、タンパクの発現も上昇しており、分子レベルにおいても乾癬を再現していると考えられた。
ヒトの尋常性乾癬の原因は未だ不明であり、乾癬皮膚に浸潤しているリンパ球が何を認識して免疫応答しているのか明らかではない。本研究において、表皮抗原反応性のTh17細胞により乾癬様皮膚炎を誘導できたことから、これまで不明であった乾癬病変部において浸潤しているT細胞の抗原が表皮抗原である可能性を示唆しており、今後の乾癬の研究の進歩に寄与すると考えられる。

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公開日: 2014-07-16  

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