近接場光を用いたナノ加工技術の応用適用範囲の拡大のため、様々な基板上での小径・高密度ナノホールパターニングの実現を目的とした研究を行っている。今年度は高屈折率誘電体粒子を用いた近接場ナノ加工について体系的に研究を行った。「単一の高屈折率誘電体粒子を用いたナノホール加工」および「二次元配列高屈折率粒子を用いたナノホールアレー加工」について理論計算および実験的検証により研究を遂行した。 単一粒子を用いる際、ミー散乱共鳴の誘電体粒子を用いることで、低屈折率基板(ガラス)および高屈折率基板(シリコン)の双方にて最大の増強度かつ最小径に近い集光径の光スポットが得られ、波長400nmのフェムト秒レーザを用いて直径100nm以下の明確なナノホールを得ることに成功した。二次元粒子アレーを適用する際、粒子と基板間のみでなく粒子間での近接場光の結合効果を考慮する必要があり、最適屈折率が単一粒子の場合と異なる。粒子の再選択をすることで高いコントラストを有する二次元高密度ナノホールアレーを得ることが可能となることが分かった。 これらの研究結果は本加工技術の応用適用範囲の拡大のために重要な結果である。また、一般的な手法である金属粒子を用いたナノ加工での技術的課題を高屈折率誘電体粒子を適用することで克服できることを示している。得られた知見はApplied Physics Letters、Optics Expressに学術論文として掲載されている。以上の研究の取り組み・成果は申請時に提出した今年度の研究計画に記載している通りである。
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