• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実績報告書

光電子分光法を用いた有機薄膜系における電子散乱の研究

研究課題

研究課題/領域番号 10J04900
研究機関千葉大学

研究代表者

山本 真幸  千葉大学, 大学院・融合科学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワードラジカル分子 / 自己組織化 / 表面物性 / 光電子分光法 / STM
研究概要

通常、有機分子の超薄膜は、結晶表面においては自己組織化による周期的な配向性を示す一方、物性面においては単独分子のエネルギー準位を強く反映したバンド絶縁体であり、分子の集合化による新しい物性の発現を期待できる系ではない。その原因としては、有機分子の電子状態が閉殻構造であることや分子間相互作用が弱いことなどが挙げられる。これに対し、環状チアジルラジカルは、硫黄および窒素原子間の大きな分極に起因した強い分子間相互作用を示すラジカル分子であり、そのバルク物性は通常の有機集合体のそれとは異なることが報告されている。一方で、このような特異な性質を持つ環状チアジルラジカルの超薄膜の物性研究は、これまでほとんど行われていない。
本研究では、環状チアジルラジカルの一種であるBDTDAバイラジカルの単層膜をCu(111)基板上に作製し、その分子配列と電子状態をSTMISTSを用いて調べた。その結果、ハニカム格子形状の分子配向が室温において観測された。この配向パターンはBDTDAバルク結晶におけるそれとは明らかに異なっており、またLEED測定の結果からも、系がCu(111)基板の影響を受けていることが示唆された。一方、STS測定では、フェルミエネルギー近傍でDiracconeの存在を暗示するV字型のdI/dV特性が観測された[学会発表1,2]。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

これまでバルク物性しか研究されていなかった環状チアジルラジカル分子の低次元物性を初めて観測することができた。

今後の研究の推進方策

本研究では金属基板上に環状チアジルラジカルを自己組織化により配列させたが、今後は半導体基板や原子単層膜基板上に分子を並べ、分子単層膜の物性、および、分子と基板がハイブリッドした膜の物性を精力的に調べていきたいと考えている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 2012

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] ハニカム格子状に配列したラジカル分子BDTDA単層膜のSTM/S観察2013

    • 著者名/発表者名
      山本真幸、水津理恵、S.Dutta, P.Mishra, 吉澤俊介、中山知信、阿波賀邦夫、坂本一之、若林克法、内橋隆
    • 学会等名
      日本物理学会第68回年次大会
    • 発表場所
      広島大学
    • 年月日
      2013-03-27
  • [学会発表] Cu(111)上に作製した環状チアジルラジカルBDTDA超薄膜の構造と電子状態2012

    • 著者名/発表者名
      山本真幸、水津理恵、P. Mishra, 阿波賀邦夫、坂本一之、内橋隆
    • 学会等名
      日本物理学会2012年秋季大会
    • 発表場所
      横浜国立大学
    • 年月日
      2012-09-18

URL: 

公開日: 2014-07-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi