研究概要 |
水田からのメタン放出に関する観測結果を取りまとめた結果がAgriculture, Ecosystems and Environmentsにおいて、発行された。これは全国8県9地点の水田において行った水管理の変更とメタンフラックスの変化の関係について述べたものであり、東南アジアなど水田耕作地域での温室効果ガス削減に対する提言を行ううえで重要な資料になるものと考えられる。 水試料中の溶存有機炭素の安定同位体比測定の簡便・迅速化を進めており、標準試料の分析をもとに分析精度の検証を進め、その進捗状況を国内および国際学会にて発表した。この手法を用いて、森林の地下水や土壌水、河川水中の溶存有機炭素の炭素安定同位体比の測定を進めている。次年度も継続して行う予定である。 半島マレーシア熱帯雨林と国内の森林において共同研究として行った植物葉や、森林樹冠上からのメタンフラックスの観測結果を、国際誌に投稿し受理された。 さらに、マレーシア・サラワク州の二次林および人工林のサイトで、次年度から調査を開始するための予備調査を行った。東南アジアでは、森林の人為的伐採による環境の変化が激しく、そういった変化が土壌の物理化学性の変化を通じて、温室効果ガス動態にどのように影響するのかについて研究する必要がある。また、元来の植生である天然林や泥炭林のサイトと人工林のサイトを比較することで、人為的な活動の環境への影響評価を試みたい。この予備調査をもとに、観測サイトの選定を進めた。
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