研究課題/領域番号 |
10J05115
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
小畑 一茂 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 特別研究員(PD)
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キーワード | 好塩基球 / 寄生虫 / IgE / 蠕虫 / 線虫 / 吸虫 |
研究概要 |
<内容>好塩基球は末梢血中のわずか0.5%を占める非常にマイナーな細胞集団であり、機能としてはマスト細胞と同様に高親和性IgE受容体を発現し、IgEと抗原の刺激で反応し、アレルギー性炎症を誘導するヒスタミンなどの物質を分泌することが知られている。我々は、好塩基球がアレルギー疾患のような生体への害悪だけではなく、本来の役割として寄生虫感染防御への関与を検討している。昨年までにマウス好塩基球が寄生虫感染防御応答の起こる局所に組織浸潤していることを明らかにした。そこで、我々は最近独自に樹立したconditionalな好塩基球特異的欠損マウスを用い、様々な寄生虫感染時の好塩基球の役割を解析した。その結果、寄生虫の中でも線虫類のNippostrongylus brasiliensis、吸虫類のSchistosoma mansoniのeggの感染時に、好塩基球は感染局所、特に寄生虫の周囲に強く浸潤しているだけではなく、感染防御応答、感染局所での炎症反応の増強に関与することが明らかになった。 <意義>マウス好塩基球は寄生虫感染時に増加し、感染局所に集まることが明らかになっているが、今回の研究により、感染時には組織中に浸潤するだけでなく、感染防御応答に関与することが明らかになった。 <重要性>好塩基球はアレルギー疾患を引き起こすことが知られているが、好塩基球の本来の役割、生体防御での働きは十分には明らかになっていなかった。今回の研究により、好塩基球が生体防御応答にも重要な役割を果たすことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した内容の研究を達成し、十分な成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
様々な遺伝子改変動物などを用いることで研究を推進する。 また、学会での交流等を含め、異分野の先生方とも積極的に共同研究を行うことで、問題を解決する準備が整っている。
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