研究課題/領域番号 |
10J05165
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
高橋 治子 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 多糖 / 酵素合成グリコーゲン / ナノゲル / DDS / 人工分子シャペロン |
研究概要 |
本研究は、日本発の新規多糖である酵素合成グリコーゲン(多糖ナノボール)を用いた新規機能性ゲルマテリアルの開発と応用を目的としている。2年目である本年度は、昨年度調製した疎水化多糖ナノボールとその誘導体を用いて、DDSキャリアや人工分子シャペロンへの応用を検討した。カチオン性の官能基としてジエチルエチレンジアミンを修飾したカチオン性コレステリル基置換多糖ナノボールは、複合化したタンパク質の熱に対する変性を顕著に抑制し、タンパク質の安定化効果を有することを見出した。さらに複合体を細胞培養液へ添加することにより、複合化したタンパク質を市販のキャリアに匹敵するほど効率的に導入し得ることを確認し、タンパク質キャリアとして有用であることを明らかとした。また、疎水性基として種々の長鎖アルキル基を置換した誘導体を用いて人工分子シャペロンへの応用を検討した。これらの誘導体は分子間の会合が抑制され1分子として存在し得る(1分子多糖ナノボールナノゲル)。この誘導体を用いてウシ炭酸脱水素酵素の熱変性に対する人工分子シャペロン機能を検討したところ、疎水性基の包接機能を有するシクロデキストリンの添加を必要とせず、1分子多糖ナノボールナノゲル単独で人工分子シャペロン機能を持つことを見出した。これはこれまで報告してきた疎水化多糖ナノゲルの人工分子シャペロン機能とは異なる機能であり、新たなシャペロンとして非常に興味深いものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度も計画通りに研究を進めているが、当初の予定では本年度は応用に向けた検討段階であったが、予定よりも早くデータが揃い、現在論文を執筆中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本採択期間の最終年度となるため、これまでの成果をまとめる時期としていきたい。現在DDSへの応用と人工分子シャペロンへの応用について、2報の論文として発表するように論文を執筆中であるため、期間内に受理されるよう、鋭意進めていく計画である。
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