研究課題
我々の提案する次世代光メモリ「多層光メモリ」の実現に向けて、本年度は1、データの転送レートを向上させる手法の開発、ならびに2、多層光メモリの動的な記録、再生実験のための取り組みを行った。本研究が完成した際には、データ記録容量が1テラバイトを超え、かつデータの保存期間が10年以上を超える大容量データストレージを実現させることが可能となる。多層光メモリの転送レートを向上させる手法として、0次ベッセルビームを用いたデータ読み出しを提案した。長い焦点深度を持つ0次ベッセルビームを多層光メモリに照射し、各記録層に記録されているデータを一度に読み出す。従来のビットバイビットの読み出し方法を比較して、10倍以上の転送レートの向上が期待できる。0次ベッセルビームの生成には円錐形状を持つアキシコンプリズムを使用した。アキシコンプリズムを使用することで、0次ベッセルビームの生成効率を90%以上まで向上させることが可能となる。アキシコンプリズムから生成された0次ベッセルビームは、焦点深度を約3ミリメートルまで延長させることに成功した。現存の光ディスクの厚みは1.2ミリメートルであり、多層メディアもこの厚さを想定して作製しているため、ビーム上のすべてのデータを一度に読み出すことができるといえる。多層光メモリの動的記録、動的再生を、海外の研究機関と共同で行った。この取り組みは、本年度当初に報告した研究計画よりも大幅に前倒しして行われた。動的記録、動的再生を行うためのシステムを実際に構築し、その動作検証を行った。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
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