• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2010 年度 実績報告書

銀河団の非球対称性と大規模フィラメント構造の起源の理論的解明

研究課題

研究課題/領域番号 10J05467
研究機関首都大学東京

研究代表者

河原 創  首都大学東京, 理工学研究科, 特別研究員(PD)

キーワード銀河団 / X線天文学 / 太陽系外惑星 / 宇宙論 / ミッシングバリオン
研究概要

まず、銀河団の形状を実際にXMM-Newton衛星で数十サンプルにわたって計測した。これはガスハローの投影された楕円の軸比を求めることに相当するが、これが現在の標準的な構造形成モデルでおこなわれたN体シミュレーションから得られる暗黒物質ハローに静水圧平衡を仮定した簡単なモデルで求めたガスハローの投影軸比分布とよく一致した。すなわち、現在の観測データが冷たい暗黒物質宇宙モデルから予言される形状分布と無矛盾であることを確かめた。
また銀河分布からえられた大規模構造フィラメントを新しい手法であるスケルトン法で同定し、これに基づき、フィラメントの交点をすざく衛星で観測することで、新しい銀河群を発見した。この新しい銀河群は複数のX線ピークを持ち、さらに温度分布に高温領域をもっている。これは衝突の痕跡であり、この規模のハローとしては非常にめずらしいものである。すなわちフィラメント環境下で、活発にハローの成長力桁われていることを観測的に示した。今回の結果は、銀河分布に基づいて、このようなミッシングバリオンの一部を検出したことに相当する。すなわち、すざく衛星と銀河分布を適切に用いることで、これまで見つかっていなかったような低温/低輝度のバリオンを発見できることを示したと言える。
さらに今年度はあらたな試みとして、地球型系外惑星の反射光直接撮像における、表面地図と赤道傾斜角の推定方法について新たなモデルを構築した。これは直接撮像で惑星の公転と自転により、観測される光量に惑星表面の情報が含まれていることを利用したものである。コンピュータートモグラフィーの理論を応用して、年間のライトカーブから、惑星表面の地図を引き出す理論的枠組みを構築した。さらに観測可能性について検討し、現在、検討されている衛星計画でも地球から5-10pcという近傍にいる惑星ならばこの方法が適用可能であることを示した。またこの理論では他の方法では推定することが非常に困難である赤道傾斜角の推定が可能であるということをしめした。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2011 2010 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] The Axis Ratio Distribution of X-ray Clusters Observed by XMM-Newton2010

    • 著者名/発表者名
      Kawahara
    • 雑誌名

      The Astrophysical Journal

      巻: 719 ページ: 1926-1931

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Global Mapping of Earth-like Exoplanets From Scattered Light Curves2010

    • 著者名/発表者名
      Kawahara, Fujii
    • 雑誌名

      The Astrophysical Journal

      巻: 720 ページ: 1333-1350

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Impact of Chandra Calibration Uncertainties on Galaxy Cluster Temperatures : Application to the Hubble Constant2010

    • 著者名/発表者名
      Reese, Kawahara, Kitayama, Ota, Sasaki, Suto
    • 雑誌名

      The Astrophysical Journal

      巻: 721 ページ: 653-669

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Suzaku Observation of a New Merging Group of Galaxies at a Filamentary Junction

    • 著者名/発表者名
      Kawahara, Yoshitake, Nishimichi, Sousbie
    • 雑誌名

      The Astrophysical Journal

      巻: 727 ページ: L38-L42

    • 査読あり
  • [学会発表] Cosmic web交差点のX線探索:衝突銀河群Suzaku J1552+2739の発見2011

    • 著者名/発表者名
      河原創
    • 学会等名
      日本天文学会
    • 発表場所
      筑波大学
    • 年月日
      2011-03-16
  • [学会発表] 地球型系外惑星の世界地図:反射光トモグラフィーによる惑星表面マッピング2010

    • 著者名/発表者名
      河原創
    • 学会等名
      日本天文学会
    • 発表場所
      金沢大学
    • 年月日
      2010-09-24

URL: 

公開日: 2012-07-19  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi