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2012 年度 実績報告書

近代西欧における遠隔作用概念の思想史・文化史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 10J05482
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

奥村 大介  慶應義塾大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード遠隔作用 / 放射線 / 生体放射 / 不可兵糧流体 / 電気 / 比較科学思想史 / 比較科学文化史 / メスメリスム
研究概要

平成24年度は、昨年度に続いて放射線の概念史・文化史的研究を行なった。とくにロシア生まれの生物学者グールヴィチ(1874-1954)とオーストリア生まれの精神分析家・社会思想家ライヒ(1897-1957)の生体放射概念についての論考「生体放射の歴史」を『生物学史研究』に寄稿した。ライヒのいわゆるオルゴンエネルギー説については平成23年度以来の調査を継続し、新たな成果は「宗教と精神療法研究会」(吉永進一・舞鶴高専准教授主催)で報告した。この研究会では神秘思想、宗教思想の研究者との交流により、<科学と神秘>という本研究課題のなかでも重要な位置を占める問題系についての議論が深まった。また、平成24年度は西欧の遠隔作用概念についての概念史的背景をなす「不可秤量流体」についての調査・分析をおこなった。その西欧的文脈についての調査から派生した近代日本における不可秤量流体概念の歴史を、さきのグールヴィチ/ライヒの生体放射概念と比較しつつ、明治期の医師・明石博高(1839-1910)と昭和初期の霊術家・松本道別(1872-1942)を主要な対象として研究した。
その成果は「人体、電気、放射能―明石博高と松本道別にみる不可秤量流体の概念」として『近代日本研究』に投稿され、査読を経て掲載された。この論考は単に明石と松本の思想を紹介・分析するにとどまらず、不可秤量流体概念を通じた19世紀~20世紀初頭の目・欧・米の比較科学文化史、さらに<近代日本科学>、すなわち<近代における><日本で><科学をいとなむ>とはそもそもいかなる歴史的現象なのかを問う議論を含む長大な論考となった。研究最終年度としていくつかのテーマが調査・分析のなかばで残ったが、他方で、当初、西欧近代をその射程としていた当研究は、日本近代の史料をもコーパスとすることで、より重層的・多面的なものへと拡大した。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 人体、電気、放射能-明石博高と松本道別にみる不可秤量流体の概念2013

    • 著者名/発表者名
      奥村大介
    • 雑誌名

      近代日本研究

      巻: 29 ページ: 309-345

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 生体放射の歴史-グールヴィチとライヒ2012

    • 著者名/発表者名
      奥村大介
    • 雑誌名

      生物学史研究

      巻: 87 ページ: 53-59

  • [学会発表] ヴィルヘルム・ライヒ再論-ビオンとオルゴンをめぐって2012

    • 著者名/発表者名
      奥村大介
    • 学会等名
      「宗教と精神療法」研究会
    • 発表場所
      早稲田大学(戸山)(招待講演)
    • 年月日
      2012-09-06
  • [学会発表] 金森修編『昭和前期の科学思想史』(勁草書房、2011年)合評会のために2012

    • 著者名/発表者名
      奥村大介
    • 学会等名
      金森修編『昭和前期の科学思想史』合評会
    • 発表場所
      東京大学(本郷)
    • 年月日
      2012-04-14
  • [備考]

    • URL

      http://researchmap.jp/okumura_daisuke/

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公開日: 2014-07-16  

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