1.CjWRKY1/CjbHLH1とsGFPの融合タンパク質、およびGFP抗体を用いた共免疫沈降(Co-IP)により、両転写因子の相互作用因子の探索を行った。Co-IP後のSDS-PAGEの結果、sGFPのみのコントロールにはない複数のバンドが得られた。MALDI-TOF-MSにより解析を試みたが、まだタンパク質の同定までには至っていない。また、新たな転写因子を探索するために、ベルベリン高生産性の培養細胞株から得られたESTのアノテーションを再度行い、複数の新たな転写因子候補配列を得た。 2.CjbHLH1の詳細な機能を解明するために、CjbHLH1のメチルジャスモン酸(MeJA)に対する応答性を解析した。その結果、CjbHLH1がMeJAに対して一過的に応答することが明らかとなった。これをふまえ、CjbHLH1過剰発現時の内在ベルベリン生合成酵素遺伝子の発現量を、経時的に解析したところ、導入から早い時間で解析した場合、内在ベルベリン生合成酵素遺伝子の発現量が若干ではあるが有意に上昇していることが明らかとなった。以上の結果からCjbHLH1がベルベリン生合成系を正に制御する転写因子であることが明らかとなった。しかし、その転写調節活性をCjbHLH1の発現単独では説明できない部分が多く、何らかの翻訳語調節を受けている可能性が示唆された。現在、これらの結果をまとめた論文を投稿中である。3.CjWRKY1/CjbHLH1を導入したハナビシソウ安定形質転換体の作出を行うために、形質転換用のCjWRKY1/CjbHLH1-sGFPバイナリーベクターを作成した。その後アグロバクテリウムLBA4404株に導入し、ハナビシソウ植物体切片に感染させ選抜培養を行い、複数のカルスを得た。さらに解析可能な大きさになるまで生育を進めている。また、植物体での解析をさらに進めるために、ハナビシソウのCjbHLH1ホモログを単離した。
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