本研究の目的は、マウス生体内にて非免疫系組織がどのようにT細胞依存性の自己免疫疾患を発症させているかイメージングの手法を交えて解析する事である。そこで、まず多発性硬化症のマウスモデルであるEAEを解析するために炎症誘導性T細胞を組織学的に見る系の立ち上げを行った。CD90.2を発現するT細胞をCD90.2を持たないマウスへ移入し、凍結切片作製後、CD90.2に対する抗体で検出すると、リンパ節や脾臓において多くの細胞集団を確認することができた。この手法を用いて、炎症誘導性T細胞がどこから中枢神経系へ浸潤するかを今後実験していく予定である。さらに当研究室で提唱されたIL-6アンプのEAEへの関与を検証した。IL-6を持たないマウスもしくは非免疫系組織でIL-6の受容体であるgp130を欠損しているマウスへ炎症誘導性T細胞を移入するとコントロール群と比較して、その病態は有意に抑制された。つまりEAEにおいてIL-6アンプの重要性が確認されたことになり、このIL-6アンプの動態を検証することが自己免疫疾患発症のメカニズム解明にとって非常に重要で、意義のあることだと考えられる。そこで、現在IL-6アンプの全身での分布を解析するためにIL-6を産生する細胞を緑色で標識できるマウスを作製している。すでに蛍光タンパクを導入したマウスも誕生してきており、今後病気の発症、進行、維持におけるIL-6アンプの役割をより詳細に検討する予定である。
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