本研究の目的は、マウス生体内にて非免疫系組織がどのようにT細胞依存性の自己免疫疾患を発症させているかイメージングの手法を交えて解析する事である。 具体的には、まず病因CD4T細胞を移入し多発性硬化症のマウスモデル(EAE)を誘導し、どこからCD4T細胞が中枢神経系へ集積してくるかをイメージングの1つの技術である免疫染色法を用いて検討した。結果として第5腰椎の背側の血管がそのゲートであることを突き止めました。次にその原因が何であるかを特定する実験を行った。そこで我々が着目したのが神経の活性化である。地球からの重力による日常的な刺激がひらめ筋と呼ばれる重要な抗重力筋からの感覚神経の活性化を引き起こす。これにより第5腰椎付近の神経が活性化され、それが慢性炎症の誘導機構として当研究室が発見したIL-6アンプを誘導することによってこのゲートが形成されることを突き止めた。IL-6アンプのターゲット分子としてCCL20と呼ばれるケモカインが誘導され、病気の発症に必要なCD4T細胞を集積させることも重要なメカニズムとして特定された。今回の成果により、精神的ストレスでさまざまな病気が増悪する仕組み、あるいは、適度な運動が病気を改善するメカニズム、さらに、なぜ針治療で多くの病気が改善するのかなど、今まで不明であった神経や精神と免疫系の相互作用の分子基盤が解明されることが期待され、診断法、治療法に新たなアプローチができることが強く期待される。
|