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2010 年度 実績報告書

カイメンとの共生がもたらした付着性二枚貝類の適応と進化

研究課題

研究課題/領域番号 10J05594
研究機関京都大学

研究代表者

椿 玲未  京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード二枚貝 / カイメン / 共生 / 多様性 / 進化
研究概要

本研究では、海綿動物に埋在する二枚貝(ホウオウガイ・ヤブサメガイ)とそのホストとなる海綿の共生関係の解明を目的としている。本年度はまずそのカイメンに埋まるという形質がどのような進化的経路で獲得されたのかを明らかにするために生息場所の進化に特に注目してウグイスガイ上科二枚貝の分子系統解析を行った。その結果、ウグイスガイ上科二枚貝の祖先形質は岩盤付着性で、刺胞動物への進出は1回、カイメン動物への進出は1回あるいは2回起こったと示唆された。これらの結果は地理的隔離の起こりにくい海洋での生物の多様化には生息基盤が重要な役割を果たしていることを示唆する例として重要である。
また、本年度は積極的に野外調査地に赴き、対象となる二枚貝およびカイメンの採集と生態調査を行った。具体的には沖縄本島でカイメンのコロニーごとホウオウガイを隔月採集し、カイメンのバイオマスあたりの個体群密度、および殻のサイズ分布を調べ、定着時期の推定を行った。その結果、ホウオウガイの個体群密度は非常にばらつきがあるものの周年高く維持されており、カイメン内のホウオウガイ密度はどのコロニーでも頭打ちになっていることが示唆された。また、殻のサイズ分布からはホウオウガイのカイメンコロニーへの新規加入は夏ごろをピークに起こることが明らかになった。また、繁殖サイクルも調べるために、各サンプリングでホウオウガイ50個体ずつ、生殖腺を観察し、雌雄判別を行った。その結果、沖縄の個体群は周年性成熟しておらず、多くの個体は春ごろから性成熟をはじめ、夏に向かうにしたがい雌比率が増加していた。また、個体の平均サイズはオスよりもメスのサイズの方が大きかったことから、ホウオウガイは雄性先熟であると推定された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Pattern and process of diversification in an ecologically diverse epifaunal bivalve group Pterioidea (Pteriomorphia, Bivalvia).2011

    • 著者名/発表者名
      Tsubaki R, Kameda Y, Kato M
    • 雑誌名

      Molecular Phylogenetics and Evolution

      巻: 58 ページ: 97-104

    • 査読あり
  • [学会発表] さまざまな付着基盤を利用する表在性二枚貝の多様化パターン2011

    • 著者名/発表者名
      椿玲未・亀田勇一・加藤真
    • 学会等名
      第58回日本生態学会大会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター
    • 年月日
      2011-03-11
  • [学会発表] 分子系統解析に基づくウグイスガイ上科二枚貝の付着基盤利用様式の進化2010

    • 著者名/発表者名
      椿玲未・亀田勇一・加藤真
    • 学会等名
      日本貝類学会平成22年度大会
    • 発表場所
      名古屋大学野依記念学術交流館
    • 年月日
      2010-04-10

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公開日: 2012-07-19  

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