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2012 年度 実績報告書

線虫における化学走性行動の神経回路基盤とその変化の解明

研究課題

研究課題/領域番号 10J05640
研究機関東京大学

研究代表者

吉田 和史  東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード線虫 / 神経回路 / 行動 / カルシウム・イメージング / 嗅覚 / 味覚
研究概要

申請者は、神経間の接続が全て明らかになっている線虫C. elegansを用いて、塩への誘引行動を神経回路レベルで解析してきた。線虫は塩を好み、塩濃度の高い方に寄っていくことが知られており、この誘引行動はピルエット機構と風見鶏機構と呼ばれる2つの機構によって達成される。申請者は、特定の神経細胞をレーザーによって破壊した線虫の行動を解析することで、塩への誘引行動を制御する神経回路の同定に取り組んだ。先行研究により、ピルエット機構と風見鶏機構に必要な塩濃度の情報は、共通の感覚神経によって受容されることが明らかになっていたが、申請者は、感覚神経より下流の介在神経などでは部分的に異なる神経回路が2つの機構を制御していることを明らかにした。これにより、塩への誘引行動に必要な介在神経が行動レベルで明らかになり、カルシウム・イメージングのような塩に対する神経活動を測定する手法の実験結果との対応付けができるようになった。また、塩への誘引行動の際にみられる風見鶏応答の際には、首振り運動が重要であることが示されたため、首振り運動を制御している運動神経の活動を、線虫が動いている状態でカルシウム・イメージングにより測定した。その結果部分的ではあるが、線虫が動いている状態で運動神経の活動を可視化することに成功した。これらのことから、味覚の入力から出力に至るまでの神経回路の解析には線虫が非常に有用であることが示唆され、カルシウム・イメージングなどを今後更に行うことで神経活動と行動との関係性がより詳細に理解できるものと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

特別研究員奨励費の最終年度として一定の成果をあげることができたため。

今後の研究の推進方策

これまでに一定の研究成果と実績を挙げ、今年度が特別研究員奨励費の最終年度のため、今後の推進方策は特にない。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] In vivo imaging of Ras protein's activity in olfactory neurons2013

    • 著者名/発表者名
      Takayuki Uozumi, Ryuji Yamada, Akiya Suzuki, Gun Taniguchi, Kazushi Yoshida, Yuichi Iino, Takeshi Ishihara & Takaaki Hirotsu
    • 雑誌名

      Protocol Exchange

    • DOI

      10.1038/protex.2013.011

  • [雑誌論文] Temporally-regulated quick activation and inactivation of Ras is important for olfactory behaviour2012

    • 著者名/発表者名
      Takayuki Uozumi, Takaaki Hirotsu, Kazushi Yoshida, Ryuji Yamada, Akiya Suzuki, Gun Taniguchi, Yuichi Iino & Takeshi Ishihara
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 2 ページ: Article number : 500

    • DOI

      10.1038/srep00500

    • 査読あり
  • [学会発表] Neuronal mechanisms underlying olfactory preference change depending uponodor concentration2012

    • 著者名/発表者名
      Kazushi Yoshida
    • 学会等名
      International Symposium on Olfaction and Taste
    • 発表場所
      Stockholm, スウェーデン
    • 年月日
      2012-06-25
  • [図書] 嗅覚と匂い・香りの産業利用最前線2013

    • 著者名/発表者名
      吉田和史、飯野雄一
    • 総ページ数
      458
    • 出版者
      株式会社 エヌ・ティー・エス

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公開日: 2014-07-16  

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