研究課題
本研究は、C_4植物のキク科のフラベリア(Flaveria bidentis)を用いて、光化学系Iの循環型電子伝達系に関わる遺伝子の高発現により、C_4植物の光合成効率を高めることを目的としている。平成22年度は、循環型電子伝達系に関わるPGR5を過剰発現させた形質転換フラベリアの作出を行った。CMV35Sプロモータドライブのベクター(pBI121)に、シロイヌナズナのPGR5遺伝子を導入した過剰発現ベクターを準備し、アグロバクテリウム法にてフラベリア幼植物の胚軸を形質転換し、植物を再分化させた。その結果、PGR5の過剰発現体を作出することに成功した。C_4植物を用いた形質転換は、世界的にも例が少ないため、当研究室で手法を確立できたことは、大きな意義があると言える。今後は、得られた形質転換体について、抗PGR5抗体に対するウェスタンブロットを行い、PGR5の過剰発現を確認するとともに、過剰発現したPGR5が、循環型電子伝達系の増強に繋がっていることを調べるために、クロロフィル蛍光(P700)の測定を行う。さらに、循環型電子伝達系の増強により、弱光下におけるCO_2の漏れが軽減されていることを調べるために、光合成速度の測定(光強度依存性)を行う予定である。当初、研究実施計画予定であった、もう一つの循環型電子伝達系であるNDH経路に関わるNDH-2を過剰発現させる実験に関しては、検討を重ねた結果、技術的に難しいことが判明したため、22年度は実験の着手を見送った。今後のNDH経路に関する実験については、PGR5の過剰発現体の解析結果を基に、実験方針を固めていきたいと考えている。
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