研究課題
1)腋窩リンパ節転移予測モデルの評価試験手術前の臨床病理学的情報から、腋窩リンパ節転移を予測する数理モデルの開発を行った。原発性乳癌のリンパ節転移は術前化学療法などの適応判断に関わる。約150例の学習データ、約140症例の評価データを国内の癌センター・大学病院から得た。モデル構築は、決定木アルゴリズムのAlternating decision tree (ADTree)を用いた。ADTreeはデータ欠損の存在下でも予測可能であるが、過学習の可能性があるためresampling, cross-validationにより過学習抑制を試みた。モデルは、学習データでAUC=0.917,評価データでAUC=0.77と高精度な予測が可能であった。モデル汎用性の検証のため、ソウル大学病院から約170例のデータを得て解析中である。今後、論文発表、web上モデル設置、多施設共同前向き評価試験を計画している。2)術前化学療法効果予測モデルの構築と評価試験術前化学療法開始前の臨床病理学的情報から、病理学的完全奏効(pCR)を予測する数理モデルを開発した。治療開始前の効果予測は適応の適正化に有用である。治療終了時の効果予測は切除範囲設定に関与する。術前化学療法の臨床試験から、学習用に約170例、評価用に約180例のデータを得た。モデルの予測精度は、学習データAUC=0.946,評価データAUC=0.822と高く、更に改良を加え論文報告の予定である。3)術前ホルモン療法の効果予測ホルモン受容体陽性乳癌を対象に術前ホルモン療法が検討中である。術前ホルモン療法の効果予測マーカー探索研究の統計解析に関与した。その結果、年齢、腫瘍径、エストロゲン受容体発現度、増殖マーカー(Ki-67)の治療効果との関連が示唆された。bodymass indexの治療効果との関連も検討し論文報告を進めている。
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