• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

ワイドギャップ半導体光受動素子・pn接合素子のモノリシック集積化UV分光器の実現

研究課題

研究課題/領域番号 10J05864
研究機関京都大学

研究代表者

渡辺 直樹  京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワードシリコンカーバイド(SiC) / フォトダイオード / 高温動作 / 温度依存性
研究概要

本研究で提案しているワイドギャップ半導体光受動素子・pn接合素子のモノリシック集積化UV分光器を実現するために必要なデバイスである、高温動作シリコンカーバイド(SiC) pnフォトダイオードの実現に向けて研究を行った。SiC pnフォトダイオードについて、特に感度の温度依存性についての詳細な報告は皆無であるが、本研究で扱うように室温から高温までの幅広い温度範囲で動作させることを考えると、感度の温度依存性は極力小さい方が望ましい。そこで、実際に4H-SiCのpnフォトダイオードを作製し、その感度の温度依存性を詳細に評価した。また、得られた知見から、特定の波長の入射光に対する感度の温度無依存化と、逆バイアス電圧印加によるその波長の変調という独自の提案を行った。
作製したデバイスを用いて波長範囲280-365nmの感度特性を、温度を変化させて測定すると、温度上昇とともに感度が増大しているが、波長280nmにおいては感度が温度無依存となっていることがわかった。温度上昇によりSiCの光吸収係数が増大しキャリア生成の分布が変化する。pn接合部の空乏層の位置により、その分布の変化が光電流に与える影響が変化するため、空乏層によってSiC pnフォトダイオードの感度に正と負の両方の温度依存性を生じさせうると考えられる。さらに、逆バイアス電圧を印加し空乏層幅を変調させることで、感度温度無依存となる波長を変化させることが可能であると考え、感度の逆バイアス電圧依存性を測定すると、逆バイアス電圧を増大させるとより長波長側において感度が温度無依存となっていることがわかった。このように、逆バイアス電圧の印加により、同一デバイス上で様々な波長に対して感度の温度無依存化が可能であることを見出した。今後は、より高温(500℃)における測定を行い、そのような高温で動作可能なデバイスの実現につなげていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究で提案している超小型UV分光器の実現のためには、SiC pnフォトダイオードの感度の温度依存性を極力小さくする必要があるが、感度の温度依存性を詳細に評価し、得られた知見から感度の温度無依存化を実現しているため、順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

今後はより高温におけるSiC pnフォトダイオードの動作実現に向け、特に逆方向リーク電流の低減に取り組むとともに、高温におけるSiC pnフォトダイオードの特性を詳細に評価する。また、SiC pnフォトダイオードと熱光学効果型波長可変フィルタを組み合わせ、本研究で提案している超小型UV分光器を実現する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Temperature-independent photoresponse in 4H-SiC pn photodiodes by applying reverse-bias voltage2011

    • 著者名/発表者名
      渡辺直樹
    • 学会等名
      International Conference of Silicon Carbide and Related Materials
    • 発表場所
      Cleveland, Ohio, USA
    • 年月日
      2011-09-15
  • [学会発表] 逆バイアス印加を用いた感度温度無依存4H-SiC pnフォトダイオード2011

    • 著者名/発表者名
      渡辺直樹
    • 学会等名
      応用物理学会
    • 発表場所
      山形大学(山形県)
    • 年月日
      2011-08-31

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi