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2012 年度 実績報告書

In-cell NMRによる生細胞内蛋白質の分子動態解析法の研究

研究課題

研究課題/領域番号 10J05888
研究機関首都大学東京

研究代表者

濱津 順平  首都大学東京, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2010 – 2013-03-31
キーワードIn-cell NMR / 蛋白質 / ダイナミクス / Relaxation / 立体構造 / Sf9
研究概要

(1)異種核多次元NMR法をもちいた生細胞内蛋白質のダイナミクス解析
本研究では,細胞内における蛋白質の詳細なダイナミクスを明らかにするため,これまでにTTHA、1718とGB1について,in-cell NMRにより大腸菌細胞内における^<15>N-T_1,T_2緩和測定を行い,精製した試料と比べともにT_1緩和時間が伸長し,T_2緩和時間が短縮されていることを示した.本年度ではこれらの緩和時間の変化の原因を検証するため,大腸菌細胞を用いたin-cell NMRにより^<15>N-DEST実験を行った.^<15>N-DEST実験では,観測対象が1MDaを超える分子量を持つ物体(細胞膜,巨大な蛋白質複合体など)と,ms-sタイムスケールで相互作用している場合,交換速度などのパラメータを解析することができる.In-cell NMRによりDEST測定を行った結果,精製した試料から得られたデータと比べ,よりブロードなプロファイルを示し,細胞内においては,細胞膜や蛋白質複合体などの巨大な分子と相互作用していることが示唆された.
(2)真核細胞蛋白質大量発現系をもちいたin-cell NMR測定法の確立
本研究では,精製が困難,あるいは安定性の低い蛋白質に対しても適用可能な真核細胞を用いたin-cell NMR測定法を開発するため,sf9細胞を利用したin-cell NMR測定法の確立に取り組んでおり,これまでに試料調製法の最適化により,バックグラウンドの低減に成功している.本年度では,さらに目的蛋白質の遺伝子をコードしていないウイルスを調製し,このウイルスを接種した細胞から得られたin-cell NMRスペクトルと,目的蛋白質を発現した細胞から得られたin-cell NMRスペクトルとで差スペクトルを取ることで,バックグラウンドのみを効果的に取り除くことに成功した.加えて,3D3重共鳴NMR測定にも成功し,これらのスペクトルを解析することでGB1ドメインについて主鎖シグナルの約8割の帰属に成功した.また,3D^<15>N-NOESY測定では,NOE由来のクロスピークを観測することに成功したことから,今後さらに側鎖の帰属を行うことで,真核細胞内における蛋白質の詳細な立体構造解析を行えることが考えられる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(1)では,DEST実験により細胞内において蛋白質は細胞膜や蛋白質複合体など,巨大な分子と相互作用していることを示唆する非常に興味深いデータが得られた.また(2)においては,真核細胞を利用したin-cell NMRとしては世界で初めて3D3重共鳴NMR測定に成功し,また得られたデータを解析することで主鎖シグナルの帰属に成功した,また,NOE由来のクロスピークの観測にも成功した.以上の成果から(2)が妥当であると判断した。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] High-resolution heteronuclear multidimensional NMR of proteins living insect cells using a baculovirus protein expression system ≪2013

    • 著者名/発表者名
      Jumpei Hamatsu, Daniel O'Donovan, Takashi Tanaka, Takahiro Shirai, Yuichiro Hourai, Tsutomu Mikawa, Teppei Ikeya, Masaki Mishima, Wayne Boucher, Brian O. Smith, Ernest D. Laue, Masahiro Shirakawa, Yutaka Ito 4
    • 雑誌名

      Journal of the American Chemical Society

      巻: 135 ページ: 1688-1691

    • DOI

      10.1021/ja310928u

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 蛋白質機能における構造-ダイナミクス-安定性の関係:In-cell NMR からわかること2013

    • 著者名/発表者名
      伊藤隆,擯津順平,池谷鉄兵
    • 雑誌名

      生物物理

      巻: 53(未定)

    • 査読あり
  • [学会発表] Multidimensional in-cell NMR spectroscopy in HeLa cells2012

    • 著者名/発表者名
      Dambarudhar Shiba Sankar Hembram, Jumpei Hamatsu, Takahiro Haremaki, Kaori Oonishi, Masahiro Shirakawa, Teppei Ikeya, Masaki Mishima, Yutaka Ito
    • 学会等名
      第35回分子生物学会年会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2012-12-14
  • [学会発表] メチル基選択的プロトン標識を用いたHeLa細胞中のin-cell NMR 解析2012

    • 著者名/発表者名
      睛被貴洋,檳津順平, Dambarudhar Shiba Sanker Hembram,池谷鉄兵, 三島正規,白川昌宏,伊藤隆
    • 学会等名
      第35回分子生物学会年会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2012-12-13
  • [学会発表] Sf9細胞のin-cell NMR:シグナル帰属と構造解析の試み2012

    • 著者名/発表者名
      檳津順平,田中孝,白井隆弘,池谷鉄兵,三島正規,白川昌宏,伊藤隆
    • 学会等名
      第51回NMR討論会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2012-11-08
  • [学会発表] メチル基選択的プロトン標識を用いたHeLa細胞中のin-cell NMR 解析2012

    • 著者名/発表者名
      睛被貴洋,檳津順平, Dambarudhar Shiba Sanker Hembram,池谷鉄兵, 三島正規,白川昌宏,伊藤隆
    • 学会等名
      第51回NMR討論会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2012-11-08
  • [学会発表] Sf9細胞のin-cell NMRにおける測定条件の最適化2012

    • 著者名/発表者名
      田中孝,濱津順平,清和恵美子,池谷鉄兵,三島正規,白川昌宏,伊藤隆
    • 学会等名
      第52回NMR討論会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2012-11-08
  • [学会発表] Structural and dynamic studies of protein inliving cells by in-cell NMR spectroscopy2012

    • 著者名/発表者名
      Jumpei Hamatsu, Daniel Nietlispach, Masaki Mishima, Teppei Ikeya, Masahiro Shirakawa, Yutaka Ito
    • 学会等名
      25th ICMRBS
    • 発表場所
      Lyon
    • 年月日
      2012-08-23
  • [学会発表] Structural and dynamic studies of protein in living cells by in-cell NMR spectroscopy2012

    • 著者名/発表者名
      Jumpei Hamatsu, Daniel Nietlispach, Masaki Mishima, Teppei Ikeya, Masahiro Shirakawa, Yutaka Ito
    • 学会等名
      International conference on Molecular Crowding 2012
    • 発表場所
      Ascona
    • 年月日
      2012-06-12

URL: 

公開日: 2014-07-16  

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