研究課題/領域番号 |
10J05936
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
森 立平 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | ファクターグラフ / 統計力学 / ベーテ自由エネルギー / 鞍点法 |
研究概要 |
ファクターグラフは従来優れた誤り訂正符号である低密度パリティ検査(LDPC)符号を表現するのに使われる一方、研究テーマであるpolar符号を表現する場合にも有用な一般的なモデルである。一般のファクターグラフの分配関数の計算は統計物理における中心的な問題である。分配関数を計算することができれば様々な物理量の統計量を計算することができる。しかし一般に分配関数の計算はNP困難である。平均場モデルと呼ばれる一様な構造を持つモデルに対してレプリカ法を用いて分配関数の指数部を計算する手法が知られているが準指数的な挙動を計算する研究は少ない。我々の先行研究として分配関数の指数部がベーテ自由エネルギーの最小値として表現できることが分かっているが、我々の最近の研究で分配関数の定数部がベーテ自由エネルギーのヘシアンの行列式を用いて表現できることが分かった。この結果は有限サイズのファクターグラフを考えた場合の分配関数の補正として用いることができる。工学上の問題は常に有限サイズなのでこの結果は非常に有用であると考えられる。また相転移を示すモデルについてはスケーリング解析と呼ばれる相転移点付近での物理量の挙動の解析の役に立つと考えられる。スケーリング解析は誤り訂正符号など応用上重要である。また一方でベーテ自由エネルギーのヘシアンはグラフのゼータ関数を用いて表現できることが知られているのでその方向からの研究も興味深いと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一般のファクターグラフの分配関数とベーテ自由エネルギーの関係についての結果が得られたから。しかし一方で研究テーマであるpolar符号に関する固有の結果はまだ得られていない。
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今後の研究の推進方策 |
一般のファクターグラフについてベーテ自由エネルギーが真の分配関数の良い近似になる条件を考える。それにはVontobelのグラフカバーを用いたベーテ自由エネルギーの特徴付け及びChertkov and Chernyakのloop calclusの方法が有効であると考えている。また一方で我々の結果を用いて相転移を示すモデルのスケーリング解析をするつもりである。 Polar符号は再帰的な構造を持つファクターグラフを用いて表現されるので何か固有の結果が得られる可能性があるのでそのことについて考察する。
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