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2010 年度 実績報告書

古代ローマにおけるメモリアの改変-ダムナティオ・メモリアエを中心に

研究課題

研究課題/領域番号 10J05976
研究機関早稲田大学

研究代表者

福山 佑子  早稲田大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワードローマ史 / ラテン碑文 / 碑文 / イタリア / 墓
研究概要

近年、美術史学や碑文学において、ダムナティオ・メモリアエ(記録・記憶の断罪)というテクニカルタームを、従来の皇帝や元老院議員などに対する公的な断罪処分に限定せず、より広く記録の破壊行為を総称するものとしても用いる見解が生じている。そこで今年度の研究では、共和制末期から帝政初期における都市ローマの墓碑を中心として、元老院決議とは関連のない私的な記録の改変の要因分析を行うことにより、公的な断罪としての記録の改変と私的な記録の改変との関係性を明らかにしようとした。研究に際しては、ラテン碑文集成を中心として対象事例の渉猟を行ったほか、ドイツ考古学研究所(在ローマ)、マッフェイ碑文博物館、アクィレイア考古学地区などで文献収集と史料撮影を行った。その結果、墓碑において氏名等が意図的に改変された事例は元老院議員から被解放自由人に至るまで、複数確認することができた。しかしこれらの事例が故人の断罪を目的としたものであるという確とした証拠は発見されなかった。むしろ、生前に建てられた墓において後の状況の変化に対応させるために改変が行われたと推測される事例など、断罪を目的としたものではない改変である可能性が強いことが判明したのである。すなわち、公的な断罪処分と墓碑などからの私的な氏名の抹消を、ダムナティオ・メモリアエという1つの言葉で括って扱うという近年の一部の研究者たちの見解には問題があることが確認された。しかしその一方で、石に刻まれた記録を、修正が明らかな形で改変し、そのまま掲示し続けていたということからは、記録の修正に対して「鷹揚」なローマ人の意識も浮かび上がってきたのである。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 被解放自由人の墓碑における氏名の抹消とダムナティオ・メモリアエーユニア・プロクラの葬祭用祭壇 (CIL VI 20905)を中心として-2011

    • 著者名/発表者名
      福山佑子
    • 雑誌名

      エクフラシス

      巻: 1 ページ: 11-25

    • 査読あり
  • [学会発表] Damnatio Memoriae in Roman Society2010

    • 著者名/発表者名
      Yuko Fukuyama
    • 学会等名
      The Ninth Korea-Japan-China Symposium on Ancient History of Europe : Politics and Culture in the Ancient Mediterranean World
    • 発表場所
      韓国、ソウル市(ソウル大学)
    • 年月日
      2010-10-22
  • [学会発表] 古代ローマにおける墓碑の改変2010

    • 著者名/発表者名
      福山佑子
    • 学会等名
      日本西洋史学会第60回大会
    • 発表場所
      大分県別府市 (別府大学)
    • 年月日
      2010-05-30
  • [学会発表] ローマにおける碑文の改変をめぐって2010

    • 著者名/発表者名
      福山佑子
    • 学会等名
      早稲田大学イタリア研究所シンポジウム
    • 発表場所
      東京都新宿区 (早稲田大学)
    • 年月日
      2010-05-08

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公開日: 2012-07-19  

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