近年マレーシア・サラワク州において焼畑耕作が大面積で行われるなど、人為的撹乱による土地改変が著しい。これまでの研究によると、人為的撹乱が起きた地域では、様々な分類群の生物相が変化、もしくは減少するという報告がある。しかし人為的撹乱の影響は生物相だけではなく、生物間の相互作用系にまで影響を及ぼすと考えられているが、そのような研究例はいまだ数少ない。熱帯地域における植物-送粉者共生系は、熱帯地域において特に虫媒樹木が多いということ、さらに植物の次世代を形成するイベントである繁殖が成功するか否かを左右することから、重要な共生系の一つである。本研究では、焼畑耕作が著しいマレーシアにおいて、生物相および生物間相互作用系に及ぼす影響を明らかにするため、これまで調査を行ってきた。 今年度は、前年度までに行ってきた調査によって得られたデータの解析を行い、論文の作成を行ってきた。送粉者相の土地間比較論文が受理されたほか、他に二編の論文の執筆を行い、現在投稿中である。
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