研究課題/領域番号 |
10J06125
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
陳 友根 北海道大学, 大学院・総合化学院, 特別研究員(DC1)
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キーワード | RAFT重合 / 大環状PHEMA / カチオン開環重合 / スター型PCL / 生分解性 |
研究概要 |
平成22年度では、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT重合)に不可欠な連鎖移動剤である環状エステルの最適化をでき、ならびに、大環状ポリマーの精密重合法を確立した結果を踏まえ、平成23年度では研究テーマ「環状チオエステルを用いた大環状ポリマーの精密合成による機能性高分子材料の開発」に関する研究実績の概要が後述の通りである。1、最適化によって得られたチオエステルを連鎖移動剤に、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を開始剤に用いた開始系により水酸基を持つ2-ハイドロキシメタクリル酸エステル(HEMA)のRAFT重合を行い重合溶媒や温度などの条件を確認した。また、1^H NMRスペクトル,MALDI-TOF MSおよびサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)測定などにより大環状ポリ(2-ハイドロキシメタクリル酸エステル)(PHEMA)の精密重合を達成した。2、水酸基を多数有した大環状PHEMAをマクロ開始剤とし、ジフェニルリン酸を触媒に用いたε-カプロラクトン(ε-CL)のカチオン開環重合を行った。また、1に述べた分析機器の測定により得られたポリマーの数平均分子量がやや分散されたスター型ポリ(ε-カプロラクトン)(PCL)の合成を達成した。3、合成したスター型PCLを酵素培地中に加えた後、60℃の恒温槽において酵素による生分解性を考察し、その結果も得た。以上で得られた研究結果をすでに国内外の学会や誌上で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の年次計画は水酸基を多数有する大環状ポリマーの合成を行った後、環状エステルの開環重合により生分解性を有するスター型ポリエステルの合成および合成したスター形ポリエステルについての生分解性の検討である。「9.研究実績の概要」に記述した通り、現在までの達成度はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの達成度はおおむね順調に進展しているので、平成24年度の推進を年次計画のように執行する。すなわち、アジド基を多数有する大環状ポリマーを合成し、これとアセチレン基を有した糖や薬物などの生物活性分子とのクリック反応を行う。その後、化学修飾した生成ポリマーについての生体認識能力や薬性などの評価を行い、クラスター効果を示す認識能や薬性を有する機能システムを開発する。
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