研究課題
【背景】近年ヒト集団において膨大な量の遺伝的多型データが蓄積されているが、それらの対立遺伝子(アレル)の機能解析を行う有効な実験系がない。【目的】メダカ集団をヒト集団のアナロジーとして捉え、ヒトでアレル間での機能差が知られているcytochrome P450(CYP)遺伝子に着目し、メダカを用いたヒト多型のアレル間の機能差を推定する実験系を構築する。【平成22年度の成果】(1)野生メダカ集団試料の採集:岡山、広島、佐賀、沖縄において野生メダカのサンプリングを行った。(2)野生メダカ集団の遺伝的多様性解析:新たにサンプリングしたメダカサンプルからゲノムDNAを抽出した。また、東京大学大学院理学系研究科の野中勝教授に青森、岩手、茨城のメダカゲノムDNAを分与して頂いた。それらのうち、青森94個体、岩手・3地点149個体、茨城83個体、岡山95個体、広島・2地点96個体、佐賀・2地点96個体、沖縄149個体に関して、ミトコンドリアDNAのD-loop領域の塩基配列決定を行い、地域によって遺伝的多様性に大きな差があることを示した。(論文投稿準備中)(3)CYPタンパク質の立体構造予測:メダカとヒトのCYP1AとCYP1B1の立体構造を立体構造を推定し、多型が存在する位置の比較を行った結果、同様の位置に多型が存在していた。(4)培養細胞を用いたCYPアレル間の酵素活性測定:培養細胞にメダカのCYPアレルを強制発現させ、ヒトのCYPアレル間で活性差が見られる基質を用いて、メダカCYPの活性を測定した。その結果、メダカCYPアレル間で活性に有意な差が存在することを示した。
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