研究課題
本研究は、双極子型磁場配位構造をもつプラズマ閉じ込め装置RT-1において、プラズマの秩序構造が自発的に形成される過程を、その遷移過程において観測される揺動信号の多点同時計測と時空間相関解析から、動的かつ多様なスケールに渡って展開することを目的としている。本年度の研究では、揺動の多点計測にまで到達することは出来なかったが、揺動と秩序構造形成との関係に関し、以下のような基礎的な知見を得ることが出来た。1.双極子型磁場配位中では、系の対称性の保存という制約から、磁気面を横切った粒子輸送は起こらない。しかしながら、系の対称性を壊すような揺動が励起されると、粒子は磁気面を横切って拡散する。実際に、揺動が観測されると同時に粒子輸送が生じていることを実験的に確認することが出来た。2.このとき粒子は、各磁力線に対して均一に分布するように拡散されるため、双極子型磁場配位中では、磁場の強い中心領域に向かって粒子輸送が起こり、大きな勾配をもつ安定な密度構造が形成される。この特異な秩序構造をもつプラズマのエネルギーは、粒子の入射エネルギーよりも高い値を示す。これは、揺動から秩序構造へとエネルギーが輸送されたことを意味する。実験では、プラズマの自己ポテンシャルが、粒子の入射エネルギーよりも高い値を持つことを実際に確認し、揺動の強さと自己ポテンシャルとの間に正の相関があることを確かめた。RT-1では、β値が70%を超えるプラズマを数百ms間に渡って閉じ込めることに成功している。このような高温のプラズマの閉じ込めは、DDやD^3He反応を用いたより安全性の高い先進核融合への道を拓くものである。上に述べた研究結果は、このようなプラズマの構造がどのように形成されるのか、その物理機構を解明する上で重要なステップになるものと期待される。
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Physics of Plasmas
巻: 印刷中((掲載確定))
数理解析研究所講究録
巻: 17 ページ: 112111-1-112111-11