研究概要 |
これまでに、動物細胞を用いた相互作用解析においてAlixとTSG101の結合がカルシウム存在下で強くなることから、ALG-2がAlixおよびTSG101と複合体を形成することで、ESCRT-IとAlixを繋いでいることが示唆された(図2)。 AlixおよびALG-2と複合体を形成しているTSG101がESCRT-I複合体を形成しているかは明らかになっておらず、またESCRT-I構成因子のアイソフォームにはPRRを持つものが多くある(図3)。そこで、まずESCRT-I構成因子のALG-2結合能を評価した。ビオチン標識ALG-2をプローブとして用いたオーバーレイ法により、VPS37BおよびVPS37Cの方がTSG101よりALG-2結合能が強いことが明らかとなった。次にVPS37A,B,C,Dをそれぞれ含むESCRT-I複合体とALG-2の相互作用解析を行ったところ、VPS37BおよびVPS37Cを含むESCRT-IとALG-2との強い相互作用が検出され、この相互作用はカルシウム依存的であった。また、AlixとESCRT-Iの複合体形成においても、同様の結果となった。これらの結果から、AlixとESCRT-Iの複合体形成はALG-2に依存しており、VPS37のALG-2結合能が重要であることが明らかとなった(図4)。 AlixおよびTSG101が細胞分裂において重要な機能を果たすことが知られており、ALG-2も細胞分裂において生理機能を担うと考えられる。細胞分裂におけるALG-2の生理機能を明らかにするため、HT1080細胞でRNA干渉法によるALG-2発現抑制を行い、細胞の異常を定量的に解析した。ALG-2の細胞分裂における寄与を明らかに示す結果は得られなかったが、細胞種の検討などさらなる解析を行う必要がある。
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