本年度は光学機器を用いた教育的手法について引き続き研究を行い、それらの研究の発表とガジェットとして扱われている映像機器の表現性の確認、教育的手法の実践などを行なった。まず、教育的手法の研究についてはコンテンツ教育として行なわれている実践を調査し、それらのカリキュラムのフローから見えてくるそれぞれに共通する構造や効果と問題点について検証を行なった。この検証に関しては学会にて発表を行なった。また、ガジェットとして扱われる携帯電話の付加機能である動画撮影機能についての表現性の可能性を実験した。ガジェットは学習者が映像制作に対する親和性を高める事と、操作の簡易性から教具としての適性が見込まれるからである。ただし、この機能を用いて表現が行なえる事が実証されなければ、教具として適切であると判断する事は困難である。この点をふまえて、携帯電話の動画機能を用いてどのような表現スタイルが可能であるのか、また、客観的に表現性が認められる作品を制作する事が可能であるのかなどの検証を実験により行なった。この検証によって制作された作品はフランスのForumdes imagesの主催する国際映画祭で入賞し、表現性を立証する事ができた。これらの研究と実験をもとに、教育の実践をワークショップ形式で行なった。この実践は映像の表現性について遊びが学びのきっかけとなるようにし、自発的かつ体験的に理解する事を軸に設計した。また、実際に映像制作体験を用いた教育の実践で発生しやすいいくつかの問題点について、デザイン的な視点を取り入れることによって解消に取り組み成功した。この実践は高い評価を得て、キッズワークショップアワードでは審査員特別賞を受賞した。
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