本研究の目的は、人とロボットとのコミュニケーション成立の基盤を、原初的な水準において構成的に明らかにし、新たなインタフェース技術として応用することにある。初年度は、人とロボットが関わる際の「参与構造」に着目し、ロボットを用いたフィールド調査・分析および印象評価実験を行った。具体的には、ゴミ箱ロボット(Sociable Trash Box)が単体の場合と複数(3体)の場合での人の振る舞いや印象の違いを調査した。その結果、群れで(3体が近くで)動いていた場合、子どもたちは社会的な距離感を保ちながら関わり、また、その振舞いは人や生き物に対するものに近いことが示された。これらの結果は、ICSR2010、日本認知科学会第27回大会で発表した。また、ソーシャルインタフェース(Mawari)が、単体もしくは3体で情報提供を行う場合の認知的負荷の違いを調べた結果、3体である場合の方が認知的負荷は低くなることが示された。これらの結果は、HAIシンポジウム2010、HRI2011で発表した。またヒューマンインタフェース学会論文誌に投稿し、2011年2月に掲載された。さらに、これまでの「コンコン」インタフェースに関する研究成果を基に、指先でトントンと叩くだけで家電の操作や他者とコミュニケーションを可能とするメディアの提案・開発を行い、ヒューマンインターフェースシンポジウム2010で発表した。なお、ICSR2010での発表はBest Paper Finalistに選ばれた。
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