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2010 年度 実績報告書

金ナノロッドを用いた光照射による薬物コントロールリリース

研究課題

研究課題/領域番号 10J06780
研究機関九州大学

研究代表者

山下 秀治  九州大学, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC2)

キーワード金ナノロッド / 近赤外光 / フォトサーマル効果 / DDS / コントロールリリース
研究概要

本研究の研究対象である金ナノロッドは、近赤外光と呼ばれる生体成分を透過する光を吸収し、熱に変換する特性(フォトサーマル効果)を有する。そのため、生体内に金ナノロッド投与しても、近赤外光のオン、オフで加熱をコントロールする事ができる。
本研究の目的は、2つある。一つは、金ナノロッドを使用して薬物を標的とする癌(腫瘍)により効果的に送達することである。もう一つが、薬物送達後、金ナノロッドのフォトサーマル効果を利用して、残りの癌を治療することである。その方法として、熱に応答する反応であるDiels-Alder反応(DA)部位を介して、薬物と、血中滞留性を向上させるためのPEGを金ナノロッドに修飾させ、近赤外光で薬物放出とフォトサーマル効果方法を考案した。
本年度の報告では、DA部位を持つPEGを修飾した金ナノロッドの作製、近赤外光によるPEGのコントロールリリースと、PEG放出による金ナノロッドの凝集を評価した。DA部位を持つPEGは、チオール基を持つフランと末端マレイミドPEGの間でDiels-Alder反応させ合成した。合成したDA部位を持つPEGを金ナノロッドと撹拌し、DA部位を持つPEG修飾金ナノロッドを作製した。作製は、吸収スペクトル、TEM、ζ電位測定で確認した。次に、作製したDA部位を持つPEG修飾金ナノロッドに近赤外光を照射した。近赤外光照射(500mW,920nm連続波レーザー)で、時間に応じてPEG鎖が金ナノロッドから放出され、PEG鎖放出による金ナノロッドの凝集が確認された。比較対象として、DA部位を持たないPEGで同様の実験を行ったが、有意なPEG鎖の放出と金ナノロッドの凝集は確認されなかった。この事から、DA部位がフォトサーマル効果で反応した結果、PEGが放出されたと考えられる。本年度は薬物修飾金ナノロッドも作製する計画であった。しかし、今回の報告は、近赤外光照射による薬物コントロールリリースシステムという本研究戦略の実現性を示すものであり、時間をかけるに値する重要な研究結果であったと考えている。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2011 2010 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Controlled-release system of single-stranded DNA triggered by the photothermal effect of gold nanorods and its in vivo application2011

    • 著者名/発表者名
      Shuji Yamashita
    • 雑誌名

      Bioorganic & Medicinal Chemistry

      巻: In press

    • 査読あり
  • [学会発表] バイオマテリアルとしての金ナノロッド:フォトサーマル効果によって誘起される逆Diels-Alder反応によるコントロールドリリースシステム2010

    • 著者名/発表者名
      山下秀治
    • 学会等名
      バイオマテリアル学会大会
    • 発表場所
      グランドプリンスホテル広島(広島)
    • 年月日
      2010-11-30
  • [学会発表] 金ナノロッドのフォトサーマル効果とDiels-Alder反応を組み合わせたコントロールドリリースシステム2010

    • 著者名/発表者名
      山下秀治
    • 学会等名
      バイオ関連化学シンポジウム
    • 発表場所
      大阪大学豊中キャンパス(大阪)
    • 年月日
      2010-09-25
  • [学会発表] 金ナノロッドのフォトサーマル効果とDiels-Alder反応を組み合わせた近赤外光応答コントロールドリリースシステムの開発2010

    • 著者名/発表者名
      山下秀治
    • 学会等名
      日本DDS学会
    • 発表場所
      大阪国際交流センター(大阪)
    • 年月日
      2010-06-17
  • [備考]

    • URL

      http://www.chem.kyushu-u.ac.jp/~katayama/

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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