研究概要 |
植物のオルガネラ機能制御機構とその進化についての知見を得るため、RAB5グループを中心としたコケ植物における膜交通機構の解析を行っている。 1.バイオイメージングによるゼニゴケ保存型RAB5(MpRAB5)とゼニゴケARA6(MpARA6)の局在解析 ゼニゴケにおいてMpRAB5又はMpARA6の遺伝子導入用XFP融合過剰発現ベクターを作製し、これを導入して得られた可視化株を、共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察した。両者ともドット状のコンパートメントに局在していた。Wortmannin処理によりMpRAB5コンパートメントがチューブ化を起こしたが、この現象はシロイヌナズナにおいては見られないため,RAB5コンパートメントの性質が陸上植物の系統間で異なっていることを示している。また、MpARA6コンパートメントはwortmannin処理に対して感受性を示さなかったことから、両者は別のコンパートメントに局在していると考えられ、MpRAB5とMpARA6が異なる機能を持つことが示唆された。しかし、両者の二重染色株を観察した結果、両者の蛍光が重なったため、一方の過剰発現が他方の局在に影響を与えている可能性が考えられた。MpRAB5とTGNマーカーとの二重染色株では、MpRAB5コンパートメントとTGNが隣接している様子が観察された。また、GTP固定型MpARA6が局在する未知の膜構造を発見した。 2.蛍光抗体法によるMpRAB5とMpARA6の局在解析 内性のMpRAB5又はMpARA6の局在を知るために、間接蛍光抗体法による観察を試みた。アフィニティー精製と、ウェスタンプロッティングによる確認を行い、MpRAB5抗体、MpARA6抗体を作製した。胞子から生育させた幼若なゼニゴケ葉状体を用いることで、単色での蛍光抗体染色に成功した。
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