研究概要 |
2011年度の研究成果は、散開星団M20とNGC3603に付随する分子雲を発見し、また、衝突起源による起源形成と考えられる分子雲の候補天体を発見した。 (1)衝突による起源の星団形成と考えられる散開星団M20に付随する分子雲候補の発見 1つ目は、分子雲の衝突起源による大質量星を発見した。この候補天体は散開星団M20の方向に3つの分子雲がある。この内、2つの分子雲の温度が高い。また、2つの分子雲は十字の位置に散開星団M20が存在する。2つの分子雲の速度分散は約10km/sと大きく,これらの分子雲は重力的に束縛されていない。このような分子雲は、衝突起源の分子雲と考えられる。この成果はAetmphysical Journalに出版された。 (2)衝突起源と考えられる巨大星団NGC3603に付随する分子雲候補の発見 2つ目は、分子雲同士の衝突による巨大星団形成の候補を発見した。NGC3603は、Westerlund2と同程度の質量を持ち、年齢200万年と若い天体である。NANTEN2を用いたCO J=1-0輝線とJ=2-1輝線の観測を実施し、大きな速度分散(約20km/s)を持つ2つの分子雲が星団方向に存在することを発見した。この2つの分子雲の^<12>CO J=2-1/J=1-0の輝線強度比を調べた。この比が2つの分子雲両方で顕著に高い。したがって、この2つの分子雲は共に星団に付随しており、星団の母体であると考える。巨大分子雲の質量は約10万太陽質量であり、この20km/sという速度差を重力的に束縛できない。そこでWesterlund2と同様に、分子雲同士の衝突によって、NGC3603が形成されたというシナリオを提案した。この成果は2012年日本天文学会春季で発表し、現在、論文を執筆中である。
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