研究課題
光誘起の半導体ダイナミクスは近年、様々な応用への期待が持たれている。光による誘起では、熱励起とは異なる反応が起こる事が近年の先行研究で指摘されており、大強度、超短パルスレーザーの発展とともに金属-絶縁体転移や表面触媒反応などを用いた新しいデバイスの研究もすすめられている。しかし、光誘起反応のダイナミクスにはまだ解明されていない事が多く、特に超短パルスレーザーによって引き起こされる反応は、非平衡過程などを含み非常に複雑である。本研究ではこの高速ダイナミクスをピコ秒の時間スケールで軟X線を用いてポンプープローブによるリアルタイム測定によって解明して行く事を目的としている。放射光による軟X線2次元角度分解光電子分光は様々な物性を決めるFermi面を含むバンド構造、化学結合状態、振動準位などを測定する事が出来る。この放射光をプローブとして用い、フェムト秒レーザーと50ピコ秒の精度で同期させ、レーザーによる励起から緩和して行く過程を実際に測定する事で、様々な情報から総合的にダイナミクスを議論する事が出来る。本年度は、この同期システム、及び2次元角度分解を行える光電子分光システムの立ち上げを行い、50ピコ秒の同期精度を達成できた事、また飛行時間型光電子アナライザーについて、エネルギー分解能、2次元角度分解能が設計通りの値を出せた事を確認した。見積りにはSi(III)の表面光起電力効果を測定し、レーザー励起による電子状態の変化を実測した。
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Physical Review Letters
巻: 104 ページ: 156805-156809
Physical Review B
巻: 82 ページ: 161410-161414