研究概要 |
本年度は、昨年度立ち上げた飛行時間型電子分析器と開発したタイミングコントロールサーキットを組み合わせ、SPring-8のBLO7LSUにおいて、軟X線時間分解光電子分光装置を開発した。時間分解能50ps、エネルギー分解能7'E/ΔE=8000を達成した。時間分解測定の評価は、si(111)7×7表面の表面光起電力効果を測定することで行った。ピコ秒からマイクロ秒という広いスケールで系統的に時間変化を追うことができ、半導体表面の光誘起ダイナミクスの研究手法としての有用性が示された。また、ポンプレーザーの強度も広範囲で振る事ができ、大強度領域において新奇な現象を発見した。 同じ装置において、ピコ秒領域やそれ以下の領域からナノ秒マイクロ秒まで連続的に電子状態のダイナミクスを追う事のできる装置は世界に無く、我々の装置に寄って光誘起による電子励起などから反応や相転移に至るまでの過程を通して研究する事ができるようになる。これによって、ダイナミクスの研究に多大な貢献ができると考えられる。 この業績の重要性が評価され、10月にロシア、サンクトペテルブルクにおいて行われた11th international conference for Atomically Controlled Surfaces,Interfaces,and Nanostructures(ACSIN11th)においてYoung Scientist Prizeを受賞している。
|