本研究では、超小型C-band加速器を搭載した次世代放射線治療装置(三菱重工業MHI-TM2000)のための強度変調照射、及び動体追尾照射に対応した高精度四次元線量計算システムの開発を目的としている。 平成22年度(1年目)は、研究計画に従い(1)放射線を発生させる直線加速器ヘッド部分のモデル、(2)マルチリーフコリメータ部分のモデル、(3)マルチリーフコリメータモデルに動体処理を組込んだ強度変調照射モデルについて開発及び検証を行った。 (1)について、最適化を行い水ファントム内の軸外線量比及び深部量百分率において1.0%以内の精度で実測と一致するモデルを構築した。また、(2)に関して、マルチリーフコリメータからの漏洩線量、及び線量不均一性の検証を行い実測と2.0%以内の精度で一致した。これより、超小型C-band搭載加速器におけるコミッショニング手法を確立した。これらの成果をまとめ、第52回The American association of physicists in medicine annual meetingにて演題発表を行った。 (3)に関して、(2)のモデルに時間軸を考慮したモデルを構築した。このモデルは、実臨床で使用される前立腺がんの強度変調照射において2.8%以内の精度で実測と一致した。これらの研究成果は第52回The American society for therapeutic radiology and oncology annual meetingにて報告を行った。 また、申請書提出時の研究計画より進捗状況が良好であったため、先行し初年度にて、マルチリーフコリメータモデルの検証を行った。
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