本研究ではまず、1-HzGPSや30秒GPSなどの様々な時間スケールのGPSデータを対象として、高精度なハイレートGPS波形データの抽出を行う。これらのデータと強震計データから、地殻内地震(2008年岩手・宮城内陸地震など)の本震から余震活動や余効変動へと移行する時間発展の様子を解析し、大地震の動的破壊が収束し準静的過程に至る様子、余震活動、余効変動への進展の様子を明らかにする。本年度は、2009年8月11日に発生した駿河湾の地震(Mw:6.2)について、強震波形インバージョンとハイレートGPSインバージョンによって震源過程を推定し、ハイレートGPSインバージョンがM6程度の中規模地震までであれば震源過程推定が可能であることがわかった。同時に、ハイレートGPSノイズを考慮した数値実験を実施し、M6以下の地震については解析能力を持たないことも確認した。またハイレートGPSデータを用いて、初期余効すべりを推定できるよう既存の波形データを使用した震源インバージョンの枠組みを、初期余効すべりを推定できるよう拡張し、2008年6月14日に発生した岩手・宮城内陸地震(Mw:6.9)について、この手法を導入し余効すべりの発展過程について詳細な解析を行っている。2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(Mw:9.0)について強震波形データを用いたインバージョンを行い、震源過程を推定した。さらにスタティックGPSデータ、遠地実体波データを加えたジョイントインバージョンによって震源の破壊過程の全容を明らかにした。 さらにハイレートGPSデータを用いて、地震直後に余効すべりが発生していることを確認した。今後、本震直後の余効すべり、余震についてハイレートGPSデータから詳細な解析を実施し、余効すべり現象の発展や余震との関連性について議論・考察することを予定している。
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