光学的マッピングの手技を学ぶために新生児ラットから心筋細胞だけを取り出し、単層シート状に播いたうえで数日培養後にカルシウム感受性蛍光色素(Fluo-4)により興奮伝播する様子を観察した。さらに注射針等を用いて単層シート上にゲート様の部分的な障害(非興奮領域)を作り、ナトリウムチャネルブロッカーであるリドカインにより興奮性を抑えることで、曲率効果による伝導ブロックがおこる様子も観察した。そして興奮伝導が起こり得る限界幅を測定し、リドカイン濃度との相関を検討した。また、直線状の障害を作成し非興奮領域の先端部分で、興奮波が離れることにより興奮波の旋回(Spiral wave)の出現する条件も検討した。それらの実験結果は第75回日本循環器学会総会・学術集会に採択され、震災のため延期されたため2011年8月に発表した。 幹細胞の培養に関しては、まずマウスES細胞の維持継代を習得し、心筋細胞への効率的な分化誘導法の実験を行った。そして、心筋細胞のみの純化させるためにセルソーター等を用いて行いて、単層細胞シートとして作成することに成功した。さらに、カルシウム感受性蛍光色素(Fluo-4)を用いて細胞シート上の興奮伝播の様子を観察し、リドカイン等の薬剤応答を検討した。それらの経験を踏まえて、ヒトES/iPS細胞の培養についても習得し、同様に効率的な心筋細胞への分化誘導法の開発を進めている。そして誘導された心筋細胞を用いて単層シートを作成することに成功した。種々の抗不整脈薬等による薬物応答をMEA(多電極アッセイ法)と光学的マッピングを用いて検討し、データを測定し解析している。これらの内容に基づき2011年3月には第10回日本再生医療学会総会でポスター発表を行った。
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