研究課題
従来の分化誘導因子や誘導法を用いて形成されるmyotubeは刺激に対する応答性が低いことが知られている。そこで昨年度までに開発に成功した遺伝子組み換え技術を用いて光受容イオンチャネルchannelrhodopsins(ChRs)を導入することで光刺激操作を可能にした培養骨格筋を用いて、分化培養中における継続的な光刺激の効果を検証した。すると、光刺激トレーニングを与えたグループのmyotubeにはサルコメア構造が明瞭に見られ、出現率はトレーニングを与えないコントロール群に対して有意に増加した。またその効果はChRを発現するmyotubeのみに特異的であることが確認された。次に刺激に対する応答を観察すると、収縮応答するmyotubeが有意に増大することが分かった。これに対して、ChRsを活性化しない赤色光(605nm)刺激では促進効果は認められず、光照射による細胞毒性も認められなかった。また光刺激の総照射時間を一定にし、刺激間隔を0.1Hz、0.01Hz、0.0011Hzと変化させるとその効果は抑制された。よって、一定の周期的なリズムを持った刺激(1Hz)が効率的に収縮能を有する筋線維へと成熟させることが示唆された。また光刺激トレーニング時に各種ブロッカー(TTX、nifedipine、thapsigargin)を投与して薬理学的な検討を行った結果、その効果は抑制されることが分かり、細胞内カルシウムイオンの変化が関与していることが示唆された。さらに本研究成果を神経筋疾患の研究に応用することで、障害を受けた神経・筋機能を補完・回復・再建させる治療法の基盤技術の確立を目指す研究に着手した。
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Development, Growth & Differentiation
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