研究概要 |
今年度は熱進化する氷微惑星の衝突再集積過程を調べるとともに,氷ダスト集合体の静電加速装置の予備開発を行った.本年度の補助金は,主に実験・研究会への旅費と,コンピュータやデータロガーの購入に当てられた. 氷微惑星の衝突再集積に関する実験では,北海道大学低温科学研究所の低温室(-15℃)において空隙率=40%, 50%, 60%, 70%の直径60mmの雪試料を用いた衝突破壊実験を行った.氷微惑星の付着による成長効率を調べるため,直径10mmの雪弾丸が標的に付着する速度を調べた.その結果,付着速度は60%では40-90m/s,70%では15-70m/sであることがわかった,衝突圧縮過程を調べるため,付着した弾丸の貫入深さとその形状を,コンピュータで制御された一軸可動のレーザー変位計で測定した. また,衝突実験で用いられた雪試料の引張強度を引張試験によって求めた.雪の引張強度は,氷微惑星の衝突破壊や彗星核のバースト現象などを理解するために重要である.引張試験では固定治具を改良し,定格容量の小さなロードセルを用いて変形試験を行い,データロガーで荷重と変位を測定した.その結果,空隙率の増加とともに引張強度が大きく減少することがわかった. 氷ダスト集合体の静電加速装置の予備開発については,銅製の冷却板を製作し,低温室内で液体窒素供給装置による冷却を行って氷微粒子の凝縮成長の様子を観察した.
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