研究概要 |
今年度は焼結した氷ダスト集合体の付着成長に関する研究を投稿論文としてまとめると同時に,これまでの研究成果をまとめて原始太陽系星雲における氷ダストから氷天体への衝突進化シナリオを構築し,学位論文として公表した.今年度の補助金は,主に英文校正費用と学会発表の旅費に当てられた. 氷ダスト集合体の衝突付着に関する研究では,昨年度までに行った空隙率44%,52%,60%,70%とした直径30mmの氷ダスト球同士の低速衝突実験の結果を投稿論文としてまとめ,海外雑誌に投稿誌受理された(1).本成果により,焼結した氷ダスト球は空隙率60%-70%以上,衝突速度4-10m/s以下で付着可能であることが明らかになった.また,同実験の高速度衝突の結果から,等サイズ衝突での衝突破壊強度は弾丸/標的質量比が約0.01の場合とほぼ一致するが,細かい破片量は増加することがわかった。また,重心系における破片速度分布は衝突点の接線方向で最大となり,空隙率70%では衝突速度の約1/3となることがわかった. さらにこれまでの研究成果をまとめ,原始太陽系星雲における氷ダストから氷天体への衝突進化シナリオを考察した.その結果,μmサイズの氷ダストは付着成長によって10cm程度の氷ダスト玉まで秩序成長し,等サイズ衝突によって破壊と圧密破片の形成が起こり,一部の高空隙率氷ダスト玉が圧密破片を衝突貫入捕獲することでkmサイズ以上の氷微惑星へと暴走成長するというシナリオを構築しし,これを学位論文として発表した.
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