研究課題
前年度に開発した元素合成計算コードのテストを引き続き行い、さらに、Ni56、C12、He4に対するニュートリノ反応の反応率を最新の物に取り替えた。具体的には、中性子ドリップラインから陽子ドリップラインまでの核種を含んだネットワークや中性子過剰核のみを含んだネットワークなどを作成し、同じモデルで計算したときに同一の結果が出るかどうか確かめた。また、高温部での計算時間の短縮のため、核統計平衡を採用するようにしたが、その時の中性子と陽子の比が核統計平衡を採用する下限温度をある程度変化させても一致することを確かめた。また、爆発シミュレーションに関するワークショップに参加し、最終年度で元素合成計算に用いる爆発シミュレーションデータを準備し終えることができた。様々な質量を持つ星において安定した流体力学的計算を行うことが必須であるが、これまでの核燃焼プログラムに改良を加え、より厳密に核燃焼による熱の収支を計算できるようにした。また、これまで、中性子と陽子の比を一定値として計算していたが、これを星の初期データの中性子と陽子の比を代入し、爆発計算を行うようにした。また、計算の過程で原子核の個数は核燃焼により変化する。これも時間発展とともに変化するよう改良を行った。また、これまでの状態方程式では高密度領域において計算が破綻するという問題があったが、これを新しい状態方程式に取り替えた上で安定に動くようにした。観測に関する最新の知識とともに予定した元素合成計算コードと爆発シミュレーションデータを今年度までに完成させることができ、最終年度に向けて十分な準備をすることができた。
1: 当初の計画以上に進展している
二年目までの計画であった元素合成ネットワークの完成、テストと、流体力学的データの準備を終えることができ、また、それに加え今までに出た結果を用いて投稿論文も仕上げることができたので。
今後は完成した元素合成ネットワークち流体力学的データを用いて元素合成計算を行い、元素分布を求めていく。またその元素分布を観測と比較し、宇宙初期の超新星について考察する。
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AIP conference Proceedings : The 11th International Symposium on Origin of Matter and Evolution of the Galaxies
The Astrophysical Journal Letters
巻: 739 ページ: 57-60