研究概要 |
1.プロウログアニリンにおける構造形成機構の解明 プロウログアニリンの構造形成機構の解析により,構造形成過程の初期においてウログアニリン領域内のジスフィド結合はプロペプチド領域内のジスルフィド結合よりも早い段階で形成されることが明らかになった。さらに,プロウログアニリンの構造形成はウログアニリン領域内ジスルフィド結合の架け違った異性体1および異性体2を経由して天然型のジスルフィド結合様式を形成することを明らかにした。またそれぞれの異性体から天然型への構造形成における速度論的解析により,各異性体間におけるジスルフィド結合の交換反応が存在することを示し,さらに異性体2が天然構造に移行する最終ステップとなる中間体であることを明らかにした。 2.機能性人工タンパク質の創製技術の展開 プロ領域の分子内シャペロン機能を構造制御されるペプチドホルモンの立場から解析するため,新規な生理活性ペプチドの創製を試みた。プロ領域によって構造制御される新規生理活性ペプチドを設計し、その人工ペプチド単独およびプロ領域を融合させた人工タンパク質のフォールディングを解析した。その結果,プロウログアニリンとは違うフォールディング過程を取り,遅い修復機構ではあるが,プロ領域によって構造制御されている事を明らかにした。さらにこの人工タンパク質が生理活性を持つ事を明らかにした。また、アンフォールディング解析の結果,人工タンパク質はプロウログアニリンと比べ素早くジスルフィド結合を切断されやすい事がわかった。つまり,プロ領域による人工ペプチドの捕獲がウログアニリンと比べて弱いことが考えられる。さらに人工タンパク質はプロウログアニリンと違った2次構造を持っており,このことによりプロ領域による違う構造の制御に成功した事が明らかになった。
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