本研究は、1)ある個人のスピリチュアルな危機からの回復を、聖地という特定の場所に焦点をあて、その場所とのかかわり方と癒しの関係について、宗教的視点だけではなく、医療的視点も取り入れて分析する、2)現代の聖地における新しい癒しのあり方について考察し、メディカル・ツーリズムという視点も取り入れて、具体的な提言をおこなうことを目的としている。本年度は以下のような活動を実施した。 1、研究成果の発表 2009年度までの現地調査の成果をもとに、エストニアでの医療系の国際学会で報告し、ポーランドのAdama Mckiewicza大学人類学部の定期セミナーに招待されて、講演した。また2006年度の現地調査の結果をもとにした論文が、書籍として刊行される予定になっていて、2011年刊行予定の世界宗教学事典にも執筆をおこなった。 2、英国グラストンベリー等でのフィールドワーク(科学研究費補助金使用) ・2010年4月:エストニアとポーランドにて、報告を行った。 ・2010年5月~6月:人々の日常生活の背景を知るため、インタビューや州立図書館での資料収集をもとに、町の歴史や給付金制度等の調査をおこなった。また、ニューエイジ用語に対するアンケートをおこなった。 ・2010年7月~12月:現地にて1-2週間おきに開催される、女神運動とスーフィズムの、主に女性の集まりに継続して参加し、日常の文脈の中で、人々の癒しの体験について聞き取りをおこなった。その場で出会った人々とは個別にインタビューも実施した。 ・2011年1月~2月:帰国の準備。イスラエルを訪問し、聖地についての見聞を深めた。また、ヒーリングやエコロジーを推進しているキブツに滞在し、調査を実施した。日本に帰国後、資料の整理をおこなった。 ・2011年3月:聖地や巡礼に関する文献研究をおこなっている。
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