• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

プロトン移動による直接的触媒的不斉炭素―炭素結合形成反応の開発

研究課題

研究課題/領域番号 10J07527
研究機関東京大学

研究代表者

鈴木 優太  東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード銅(I) / チオアミド / 炭素-炭素結合形成反応 / 触媒的不斉反応 / 共役付加反応 / 分子内反応
研究概要

我々の研究の目的は、過剰量の活性化剤を要するため多量の廃棄物を伴う従来の化学反応を、独自設計した金属不斉触媒により完全触媒化、不斉化させることである。我々はこれまでに銅(I)錯体、不斉二座リン配位子、及びBronsted塩基からなる触媒系を用いた直接的触媒的不斉炭素-炭素結合形成反応を数例報告している。本触媒はソフトLewis塩基性を持つ基質と銅(I)の間に生ずるソフト相互作用が反応性の鍵と考えられ、これまでにニトリルを求核剤として用いた種々の触媒反応が開発されてきた。ここで我々は次なる基質としてチオアミドに着目した。チオアミドはその硫黄部位にソフトLewis塩基性を持つため、これを考慮すれば同様の触媒系でチオアミドを求核剤とした直接的触媒的不斉反応が開発可能と考えられる。当該基質を用いたMannich型反応及びアルドール反応については昨年度以前に達成済みであり、本年度はさらなる一般性拡張のため共役付加反応への展開を試みた。反応条件検討の結果、Cu(I)と二座配位子Xyl-P-Phos及びLiO(C6H4-p-OMe)からなる触媒系を用いた際に、分子内にチオアミド部位とα,β-不飽和エステル部位を持つ基質に対して高い立体選択性にて共役付加体を与えた。続いて共役付加体の官能基変換を検討したところ、アミド、チオエステル、アミノアルコールへの変換がそれぞれ良好な収率で進行したため、本反応生成物が種々の有用なキラルビルディングブロックとなりうることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究課題に対応する新規反応を新たに一種類開発することに成功した。

今後の研究の推進方策

現時点において、共役付加反応は分子内反応に留まっている。これを分子間反応に展開することがまず第一に検討すべきである。また、チオアミドはその合成にやや煩雑な手順を要し、さらに官能基変換の観点においても従来予想したほど円滑に行えないことが分かったため、より有用な求核種前駆体を用いた反応を行うことが重要である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Direct Catalytic Asymmetric Intramolecular Conjugate Addition of Thioamide to α,ss-Unsaturated Ester2011

    • 著者名/発表者名
      Suzuki, Y.; Yazaki, R.; Kumagai, N.; Shibasaki, M.
    • 雑誌名

      Chemistry a European Journal

      巻: 17 ページ: 11998-12001

    • DOI

      10.1002/chem.201102332

    • 査読あり
  • [学会発表] チオアミドを求核種前駆体とした直接的触媒的不斉共役付加反応の開発2012

    • 著者名/発表者名
      鈴木優太、矢崎亮、熊谷直哉、柴崎正勝
    • 学会等名
      日本薬学会第132年会
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      20120328-20120331
  • [学会発表] Direct Catalytic Asymmetric Intramolecular Conjugate Addition of Thioamides2011

    • 著者名/発表者名
      Y.Suzuki, R.Yazaki, N.Kumagai, M.Shibasaki
    • 学会等名
      Twelfth Tetrahedron Symposium
    • 発表場所
      Spain, Sitges
    • 年月日
      20110621-20110624

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi