動物のからだには、遺伝的に決められた左右非対称性が認められることがしばしばあります。左右軸は、前後軸や背腹軸とともに、体軸の要素として胚発生の基礎となっています。したがって、左右非対称性の形成機構を明らかにすることは、個体発生や臓器形成を理解するための中心的な課題の1つです。そこで、本研究では、ショウジョウバエを用いて、臓器の左右対称性が破られ、左右非対称な形態に発生する過程を明らかにすることを目的としています。 左右対称性の破れに関わる遺伝子を網羅的に探索するために、生殖細胞系列において突然変異細胞をモザイクにもつ個体から、突然変異ホモ接合体胚を得る方法(生殖細胞モザイク法)を用いて、胚の消化管の左右非対称性の異常を指標とした遺伝的スクリーンを行いました。この結果、消化管の左右対称性の破れに関わると考えられる遺伝子の突然変異体を1系統単離することができました。 また、多光子共焦点顕微鏡を用いて、ショウジョウバエ胚消化管のタイムラプス観察を行いました。その結果、消化管の形態が大きく変化する時期を明らかにすることができました。また、消化管の左右非対称な形態形成には、機械的な力が必要であるのではないかと考え、消化管の左右非対称な形態を人為的に操作できるシステムを確立しました。
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